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著作権の概要と注意点
小栗吉雄 記事更新日.06.08.07
小栗FP行政書士事務所
■PROFILE
1948年生まれ。名古屋市出身。
中央大学卒業後、安藤建設株式会社(東証一部)入社。購買、経理、マンション企画・販売等を経験。在職中の1974年「宅地建物取引主任者」取得。1979年「行政書士」取得。1980年行政書士事務所を開設し、行政手続業務の他企業コンサル業務も開始。1991年AFP取得。同年コンサルティング会社「(有)トータル・プランニング」設立。1994年CFP®取得。1995年著作権コンサルティング開始。2003年「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」取得。2004年名古屋市立大学大学院修士課程修了(目的は、経済・金融理論に基づくFP業務の実践研究、修士論文「バブル崩壊前後の家計資産選択行動」現在、同大学研究員)。  

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連絡先  
小栗FP行政書士事務所  
〒464-0052 名古屋市千種区田代町四観音道西39  
TEL 052-761-1766 FAX 052-761-2060  
メール:oguriskj@lilac.ocn.ne.jp
 
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平成14年7月に「知的財産戦略大綱」が策定され、同年11月に「知的財産基本法」が制定されました。経済がグローバルな時代となり、各国が自国の知的財産の囲い込みをするようになりました。日本では、既に産業財産権とは別にアニメ・ゲームをはじめとする文化的知的財産が数多くあります。これらは知的財産の中の一つの「著作権」という財産です。現在日本は、「映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメ、ゲーム等に文字、図形、色彩、音声、動作もしくは映像等を組み合わせたもの」、または「これらに係わる情報を、コンピューターを介して提供するためのプログラム」といった教養 またはは娯楽の範囲に属する「コンテンツ」を創造、保護および活用し、日本ブランドを確立・強化する政策を推進しています。
次に簡単に知的財産権を整理しておきましょう。
1.著作権の概要
■著作権の概要
子供の絵とか自分が書いた文章は「著作物」です。著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」です。著作物の種類には、言語、音楽、舞踏・無言劇、美術、建築、地図・図形、映画、写真、プログラム等があり、その他には二次的著作物、編集著作物、データベースの著作物等が挙げられます。著作物を創作した者を「著作者」と言い、創作した時点で権利が自動的に発生します(無方式主義)。そしてこの著作物を創作した著作者の権利(他人に勝手に利用されない権利)が「著作権」です。多くの人々が誰でも著作権者となりうることから、きわめて身近な知的財産といえます。

著作権は、(1)「著作者人格権」(2)「財産権である著作権」とに分けて考えることができます。著作者人格権は「公表権」「氏名表示権」「同一性保持権」があり、財産権である著作権は、「複製権」「上演権・演奏権」「上映権」「公衆送信権」「公の伝達権」「口述権」「展示権」「頒布権」「譲渡権」「貸与権」「翻訳権・翻案権」「二次的著作物の利用に関する原著作者の権利」があります。この他に実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者などの著作物を伝達する者に与えられる(3)「著作隣接権」があります。
(1)「著作者人格権」
著作者人格権は、著作者が精神的に傷をつけられないための権利で、未公表の著作物を公表するかどうかを決める「公表権」と著作物に著作者名を表示するかどうか、表示するばあいに名義をどうするか(本名かペンネームか)を決める「氏名表示権」、そして著作物の内容や題号の同一性を著作者の意に反して改変されない「同一性保持権」の三つの権利があります。この著作者人格権は、譲渡したり、相続したりすることはできません。
(2)「財産権である著作権」
財産権である著作権は、前に列挙したように「複製権」をはじめ多くの権利があり、著作者人格権と違い、これら権利 の「全部又は一部のみ」を譲渡したり、相続することができます。ここでは、今まで相談の多かった「複製権」と「公衆送信権」を取り上げます。
      
「複製権」
無断で複製されない権利で、簡単に言えばコピーされない権利です。他人の著作物をメールとして送信する場合には複製に当たり、原則として著作権者の承諾を得ておく必要があります。会社内の会議で、参考記事等をコピーして配布したりしていませんか?ソフトを社員のパソコンにコピーしていませんか?特にソフトの不正コピーによる訴訟事件の判決は賠償額が多額となっており、会社経営上、今や全社的な管理が必要となっています。
「公衆送信権」
無断で公衆に送信されない権利で、これにはテレビ・ラジオ(放送、有線放送)、インターネット(自動公衆送信)、ファックス・メール(サーバーの機器による自動化)等が該当します。この中で特にインターネット上では、ホームページとウエブキャスト(動画放送)を開設する場合、利用しようとする著作物の権利処理が大切です。 サーバー等に蓄積・入力された著作物が、アクセスがあれば送信される(送信可能化)状態のまま無断で送信可能化をした場合、たとえ受信者へ送信されていなくても権利侵害となります(同一構内での学校除く)。
メーリングリストなどを利用し多数に送信することは「公衆送信」に該当することから著作権者の承諾(許諾)を得ておく必要があります。
(3)「著作隣接権」
著作権に隣接する権利で、著作物の公衆への伝達に重要な役割を果たしている実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者等に与えられる権利のことです。通常の著作権の権利と同じ様に保護されます。ただし、実演家の人格権は一身に専属し譲渡することができません。また、実演家の死後における人格的利益は保護されます。レコード製作者は、私的録音録画に係わる保証金を受ける権利、放送二次使用料や貸与に係わる報酬を受ける権利があります。
2.「著作権」取り扱い上の注意点
■権利の保護期間
著作権は一定の存続期間が経過すると権利が消滅します。これには著作物を社会全体の共有財産として利用しようとする法律の趣旨があります。 保護期間は著作物を創作した時から著作者の死後50年、共同著作物は、最終に死亡した著作者の死後50年です。計算方法は、死亡・公表・創作した年の「翌年の1月1日」から起算します。
著作物の種類 保護期間
実名(周知の実名)
の著作物
死後50年
無名・変名の著作物 公表後50年(死後50年経過が明らかなときは、その時点まで)
団体名義の著作物 公表後50年(創作後50年以内に公表されなかったときは、創作後50年)
映画の著作物 公表後70年(創作後70年以内に公表されなかったときは、創作後70年)
<著作隣接権の保護期間>
著作隣接権 保護期間
実演 実演が行われたときから50年
レコード 音を最初に固定したときから50年
放送又は有線放送 放送又は有線放送が行われたときから50年
なお、旧著作権法(旧法)の規定により、現時点において著作権が存続している著作物は、旧法の規定を調べる必要があり注意すべきところです。
外国人の著作物の保護期間は、その相手国の保護期間が適用されますが、第二次世界大戦前または大戦中に取得した著作権は、戦争期間(連合国別実日数)を加算することになっていますので、国別の対応が必要となります。
■著作物が自由に使える場合
著作権法には、一定の条件を満たせば、許諾なしに利用できるものとして「私的使用のための複製」、「図書館等における複製」、「引用」、「教科用図書等への掲載」、「 教科用拡大図書等の作成のための複製」、「学校教育番組の放送等」、「学校その他の教育機関における複製等」、「試験問題としての複製等」、「点字による複製等」、「聴覚障害者のための自動公衆送信」、「営利を目的としない上演等」、「時事問題に関する論説の転載等」、「政治上の演説等の利用」、「時事の事件の報道のための利用」、「裁判手続き等における複製」、「情報公開法等による開示のための利用」、「放送事業者等による一時的固定」、「美術の著作物等の原作品の所有者による展示」、「公開の美術の著作物等の利用」、「美術の著作物等の展示に伴う複製」、「プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等」が列挙されています。この中で身近なものとして、「私的私用のための複製」とは、自分自身や家族等限られた範囲内で利用することができるということです。そして「引用」については、次の7要件を確認することが大切です。
なお、もともと著作権が及ばないものには下記のものがあります。
憲法その他の法令(地方公共団体の条例、規則を含む。)
国や地方公共団体又は独立行政法人・地方独立行政法人の告示、訓令、通達等
裁判所の判決、決定、命令等
上記三つの翻訳物や編集物(国、地方公共団体又は独立行政法人・地方独立行政法人が作成するもの)
■刑事罰
著作権侵害の場合、損害賠償請求、差し止め請求、不当利得返還請求、名誉回復等の請求等の民事上の責任が問われます。 刑事罰としては、平成16年6月の法改正により平成17年1月より罰則がより重くなり、侵害した者は5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する、ということになりました。
法人(法人格を有しない社団又は財団を含む)の業務に関連して侵害行為が行われた場合は、その法人等に1億5000万円以下の罰金となりました。
■会社・団体等経営上の注意点
創作をするのは通常は個人となりますが、会社で社員により創作された著作物は、会社の著作物となります。ただし、下記の要件を満たす場合に限ります。
著作権の管理としては、社員が創作した著作物の権利内容・帰属はもちろん退職・転職時の秘密保持義務等を文書(誓約書等)で明確にしておく必要があります。
通常の商取引においては、長年にわたる商慣習に基づく製品の発注、製品の納入等、契約書のない取引(口頭、電話、メール、FAX等)がなされる場合が多いかと思います。ご相談の中には、キャラクター等の発注に際して、発注側、受注側ともに権利内容(目的、期間、範囲等)を詳細に確認していなかったために著作権の範囲(許諾か譲渡か)について後日トラブルになった例もあります。
したがって、無用の争いを避けるためにも双方が著作権の利用条件・権利の範囲を明確に文書(契約書)で交わしておくことが大切です。
次に会社での著作権の管理(知的財産管理)には下記の体制を構築することをおすすめします。
参考文献
「著作権テキスト」(文化庁)、岡本薫著「著作権の考え方」(岩波書店)
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