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平成18年4月より(社)愛知県産業貿易振興会はあいち産業振興機構の国際ビジネスグループとして県下企業の国際化を支援しています。
今回は国際ビジネス関係事業を効率的に利用できる「国際ビジネス会員制度」を活用し情報収集をはかっている、株式会社ヨシタケ 代表取締役社長 山田 哲氏、国際部部長 小野木 克尚氏に同社の国際化への歩みを語っていただきました。
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株式会社ヨシタケは減圧弁、調整弁、安全弁などのバルブメーカーです。製品は工場、プラント、ビル、公共施設などの建物、機械装置に用いられており、元気な名古屋を象徴している名古屋駅前の高層ビル群にも数多く使用され、ものづくりの現場や生活の場に欠かすことのできない製品です。
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同社の国際化は1985年に米国企業との相互販売代理店契約し国内、米国に合弁会社を設立したことから始まりました。
「私たちの企業規模では早いほうだったと思います。当時は日本の経済力が脚光を浴びていた時でした。先方が提携先を探しており候補が何社かあったようですが最終的に当社がなりました」
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「バルブは日本にJIS規格があるように世界ではその国の規格があります。海外で売っていくには規格も変わりますから日本のメーカーはあまり考えていなかったと思います。その中で先代社長(現会長 山田 進氏)は我々の企業規模としてはかなり早くから海外で事業をやりたいという気持ちを持っていました」
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89年にタイに子会社を設立、90年に米国バルブメーカーに資本参加、96年にはタイに2社目の子会社を設立し、2002年にタイの子会社2社を合併して、現在は従業員200名、鋳造から製品の最終完成までの一貫生産体制を確立し、日本国内のみならずアジア、アメリカ、ヨーロッパ市場への生産拠点の一翼を担うまでになりました。
順調に進んだように見える国際化への歩み、しかし同社の海外展開はすべて独自で取り組んできただけに数多くの苦労もありました。
「規格が違う、お客様の要望も違いますから日本の製品をそのまま持っていって受け入れられる訳がありません。欧米に販売当初は、製品を送ったが売れずに返品。作った製品がクレームになる。いろいろと紆余曲折はありましたが
、トップの方々や技術・製造などの各部署のサポートもあって乗り越えることができ、今では欧米・アジアの各地で認められる品質とブランドを得ることができました」(小野木部長)
製品の多くは手動や電気的に制御するのではなく、内部のパーツとスプリングでバランスを取り、機械的に作動する「自力式の調整弁」と呼ばれるメカニカルなバルブです。
省エネと環境に配慮した製品であるものの、一つ一つ手作りのため品質を保ちながら海外で作ることは至難の業だったのです。
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平成17年6月に国際ビジネス会員制度に入会。その目的は海外の情報を収集するためでした。
「世界中何処でも製品を受け入れてくれるのであれば売りたいと考えています。そのためにはまず市場環境を知る必要があり地域の情報を得る方法としてセミナーが重要になってきます。そこで情報を得てその市場をマーケティングしていきます。世界の情報が得られるのでこれからも積極的にセミナーに参加したいと考えています」(小野木部長)
両氏に国際ビジネスグループへの要望を伺いました。
「我々はものづくりをしています。イタリアといえば良質なものづくりのイメージが浮かびます。同じように海外で愛知というと優れたものづくりのイメージにつながるようにもっと世界に向けてPRをしていただきたいと思います」
「我々は大手メーカーと違い海外の販売代理店は独自で探すしか方法がありません。県下には独自の技術を持った優れた企業がありますから海外の企業とのマッチングをする取り組みをしていただきたいと思います」(小野木部長)
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山田社長
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| 小野木部長
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今年同社は愛知県の製造業の実力を世界にアピールする愛知ブランド企業の認定を受けました。高い品質で世界に認められたMEDE IN JAPAN。これからはMEDE IN AICHIがものづくりのトップブランドになるような取り組みが期待されます。
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■過去の考え方を変えよう 中長期計画で新たなスタート |
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2年前に社長に就任した哲氏は現在36歳。先代社長が30年にわたって経営の舵取りをしていた当時と会社を取り巻く環境が変わってきたことを感じています。そこで7年間の中長期経営計画を立て会社が進むべき道を明確にしました。
「難しさを感じています。大きく変わったのは日本経済が成熟しきってしまったことと、バルブの需要が世界中の物余りの状況から今後どんどん伸びていくことは考えにくくなったことです」
「60年以上やっていると業界では認知度がありますから、それに頼りすぎてしまうことがあります。従来の枠組みから出られない、のれんに頼りすぎた製品開発、物づくり、販売では衰退してしまいます。進むべき道は長くて険しいですが過去の考え方を変えようと従業員の皆さんが必死になって取り組んでいます」
「何を目標にして何が問題なのかが明確にならなくては取り組む姿勢も変わりません。先を見据えてやっていくのが結果につながると考えています」。
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両氏にこれからの目標を伺いました。
「私で4代目です。創業者の想いや創業から60年間に関わった人たちの想いで今のヨシタケがあると思います。後退するわけにはいきませんので少しでも進化し、次の世代にバトンタッチしたいと考えています。世襲について意見はありますが、いい部分だけを武器に変え一貫した理念で会社をまとめて皆さんに喜ばれる会社にしたいと思います」。
「この業界にはこの企業ありというブランド力を世界に確立したいと思います。企業規模は関係はありません。わが社の製品が品質・性能・コスト・サービス面でお客様に受け入れられれば、より広く世界で認められる企業になれると思います」。(小野木部長)
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同社の経営理念は、フェア・ビジネス
「いつでも、どんな時にも、誰に対しても常にフェアに行動する」
「健全な企業運営でお客様の要望をかなえ、代理店、調達先とは共存共栄の精神を忘れず誠実に行動する」
この想いを経営理念に表しました。
「取引先はみんないい人でお互い温かみのあるビジネスができます」と山田社長は語ります。 社内的にもフェアでチームワークを大切にしています。
90年にJASDAQ市場に株式上場、95年ISO9001認証取得、2000年ISO14001認証取得、02年CEマーキング認証取得と世界に信頼されるY ' ブランドを目指しチャレンジする、株式会社ヨシタケにこれからも期待しています。 |
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