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車いすユーザーの「わがまま」に応える企業でありたい
松永圭司 記事更新日.06.08.01
日進医療器株式会社 代表取締役 
■問合せ先
日進医療器株式会社
〒481-0043 北名古屋市沖村字権現35-2 (本社)
TEL (0568)21-0635
http://www.wheelchair.co.jp/
印刷用ページ
■ショックアブソーバー付き車いす、好評を博す
開催期間中、2,200万人が訪れた2005年愛知万博。高齢者など広い会場を動き回ることが難しい来場者に活用され、評判を呼んだ車いすがある。

評判を呼んだ秘密は車いすにつけられた「ショックアブソーバー(ばね等で衝撃を吸収する機構)」。路面の微妙な段差や、空中回廊のウッドデッキでの振動などを吸収し、振動による足腰にかかる負担を最小限にとどめた。利用者の評判を呼び、当初納入の300台に加え5月に100台、6月にもう100台の追加オファーを受けた。利用者からも「愛知万博で使っていた車椅子がほしいんですが・・」と多くの問合わせが寄せられた。

この車いすをつくったのは日進医療器。ショックアブソーバーはカヤバ工業株式会社との共同開発から生まれた。

カヤバ工業株式会社との共同開発で生まれた
ショックアブソーバー付きキャスター

「車いすユーザーのわがままに応えられる車椅子メーカーでありたい」と考える日進医療器株式会社の面目躍如である。

■市場規模年5,000台からのスタート
日進医療器株式会社は、昭和39年2月、スプリング等の自動車部品メーカー「日進発條株式会社」として設立された。時しも東京オリンピックが開催された年である。

車いすの製造を始めるきっかけとなったのは、国際身体障害者スポーツ大会(後のパラリンピック東京大会の正式名称)。東京オリンピックの後開催されたこの大会を見て非常に感動した創業社長の松永和男氏は、車いすメーカーへの転換を決意する。

昭和40年、国立身体障害センターの指導を受けながら、見よう見まねで車いすを開発。販売を始めるも当初はほとんど売れなかった。それもそのはず、当時、車いす市場は年で5,000台、この小さな市場のほとんどが外国製品、残りを先発の国内専業メーカーが奪い合っていた。そのような状況でも初志貫徹、ユーザー、介助者、医療機関等様々な場所に顔を出し、機会あるごとに意見を聞いて歩いた。ユーザーの意見をどうすれば製品に反映させられるか、しかもいかに安くつくることができるか、改良を続けた。

昭和45年、社名を日進医療器株式会社へ変更、ようやく軌道に乗り始めたころである。

実は、車いす市場はある程度経済基盤ができてきている国でなければ大きくならない、という側面を持つ。いわゆる経済的に豊かではない発展途上の国では「とにかく食べていくこと」が優先となり、車いすまで需要が回りにくい。それに対し、経済先進国では経済的な余裕もでてくるため需要が大きくなる。日本もまさに高度経済成長下、市場が大きくなりつつある時期であった。

■「オーダーメイド」を制せよ
車いすは、他の工業製品のように量産品をすぐ使える、という場合は少ない。

障害者であれ高齢者であれ、その症状・姿勢は人それぞれ。健常者であれば、いすの形が自分に合わなくとも、自分で姿勢を調整することができる。しかし、下半身に力の入らない部位や不自由な部位があった場合には自力で調整することが難しい。このような人の場合は、姿勢が崩れないよう、利用者ごとに必要な姿勢・機能がオーダーメイドで求められる。車いすは、搬送道具ではなく生活用品なのである。いわば、入れ歯・メガネと同様に個々の症状・状況ごとにつくられないと、機能しないだけでなく、症状が悪化する「二次災害」も起こしかねない。

同社はこうした「オーダーメイド」への対応を得意としている。

「当社へは、たとえば、画面が三角のテレビを作ってほしい、というレベルの難しいオーダーが舞い込むのです」と松永圭司社長は語る。オーダー品は複雑な仕様が要求されることが多く、かつ、利用者にフィットするまで調整を何度も繰り返す必要がある。

これを支えるのが製造現場の技術力である。寸法・材質が書かれた指図書さえあれば、設計図レスでも製造を行うことができる。この技術力が生産性の悪くなりがちなオーダーメイド生産の効率維持を支えている。

■すべては車いすユーザーが「自分の意思で動く喜び」のために
松永社長は「車いすは、自分の意思で動くことが可能になる、行動範囲が広がる、自立の支援をする道具である、という視点が非常に重要なのです」と語る。

40台美容師。事故で美容師を続けることができなくなったが、立姿勢になることを支援する「スタンダップ機能」がついた電動車いすを使うことで、中腰も可能になり美容師に復帰。スタンダップ機能は国内では同社独自のものだ。

立姿勢になることを支援する「スタンダップ機能」がついた電動車いす(写真は製品の説明であり、事例の本人ではありません)

6歳。先天的障害と筋力不足のため、重量のある車いすのコントロールや自走が困難だったが、展示会で軽くて安定感があり、小回りも利く6輪タイプに試乗。初めて自分の意思で動く喜びに満ち溢れた子供の顔には変えられないと、購入を即断。

いずれも、同社技術が活かされた車いすにより、自分の意思で動く喜びを実感し、生活を大きく変えることができた例である。

現在は国内専業メーカーだが、同社のノウハウを海外の人にも使ってもらおうと、海外展開に着手している。特に、日本人と体格が似ておりノウハウが活かしやすいと思われる韓国・中国等の東アジア地域への進出、市場が大きいアメリカへの進出を狙っている。

「今後は、日進のいいところをもっともっと多くの人に知ってもらいたいですね」

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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