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『品質は会社の命』 
当たり前のことを愚直に続け、独自技術で世界を狙う
奥野 雅世 記事更新日.07.03.14
奥野工業株式会社 代表取締役社長
■問合せ先
 奥野工業株式会社
 〒448-0851 愛知県刈谷市神田町1丁目45番地
 TEL (0566)-21-3131(代)FAX (0566)-61-0033
http://www.okunokk.co.jp/
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○品質は会社の命
○コストは会社の実力
○納期は会社の信頼

「この言葉も当たり前と言われるかもしれませんが、『当たり前のことを愚直に続ける企業でありたい』と考えています」。
こう語るのは奥野工業株式会社社長の奥野雅世氏である。

■パートナーの急逝で急きょ社長に

奥野工業株式会社は、戦後間もない1947年先々代により設立、創業と当時に株式会社豊田自動織機と取引を開始して以後、60年間輸送機器関連部品を製造し続けてきた。


最大のピンチはが突然やってきた。1986年、先代社長(現社長のパートナー)が中国視察団団長として公式訪問中に急逝してしまう。そこで急遽、現社長が就任することとなった。

二人三脚で仕事をしていましたので、事務仕事には携わっていましたが、社長業のことは何も知らず、とまどうことばかりでした。それでもなんとかやってこられたのは、いろいろ気配りしてくださった回りの全ての方々のおかげです」と奥野社長。今では地域を代表する女性経営者として『有名人』だ。

■輸送機器メーカー向け部品製造業として成長

現在同社の事業は、フォークリフト用油圧シリンダーと自動車用プレス成形品と自社ブランドで販売する排水用グレーチング事業の3つに大きく分けられる。

輸送機器メーカー向けの部品製造については、1955年には、(株)デンソーへも取引を拡大。自動車用電装品の製造を始める。今でも主に(株)デンソー向けに、カーエアコン関連の部品を中心として、内装関連品等に使われるプレス部品、樹脂成形部品、スポット溶接部品、アルミ部品、ピンカシメ部品などの自動車部品を製造し、売上高の35%を占める。

この輸送機器メーカー向け部門で今最も成長しているのが、油圧シリンダーである。1958年に株式会社豊田自動織機向けフォークリフトの油圧シリンダーを受注して以来生産を続け、現在では売上の50%以上を占めている。

■フォークリフト向けティルトシリンダーで国内シェア最大

油圧シリンダーの中でも同社の主力は、フォークリフトに使われる「ティルトシリンダー」である。

ティルトシリンダーとはフォークリフトの荷物を載せる「フォーク(ツメ)」の傾斜角を調整する機能を持つ。リフトアップした荷物を、荷崩れしないよう「抱え上げる」機能である。

 

現在では、技術力とコスト競争力を背景に、(株)豊田自動織機、小松フォークリフト(株)、日本輸送機(株)、住友ナコ(株)、日産自動車(株)など、国内の主力フォークリフトメーカーには同社製のティルトシリンダーが納品されている。

シリンダーのような、その製品単体で一定の動作機能を持つ「コンプリート品」には思い入れも大きい。

部品受注型の「図面の通りに決められた価格で作るだけ」とは異なり、コンプリート品は設計図の段階から関わることになるため、技術面だけでなく、コスト面でもVA/VE提案、製造工程での多能工持ち作業と合理化の徹底などの作り込みを含め、様々な提案・工夫が可能となる。その提案力がまた同社の実力・優位性・差別化につながっているのである。

フォークリフトメーカー側からも、品質とコストのパフォーマンスについては非常に高い評価を得ており、将来的には、すでにアメリカ進出した現地工場での生産も含め、世界NO.1のシリンダー供給企業への成長を狙っている。

■育て!自社ブランド商品 グレーチング市場へ参入

グレーチング事業では「オクノグレート」の自社ブランド名で、道路に設置する排水用グレーチングの製造販売を行っている。同社としては初の「自社製品」事業である。部品供給型企業が自社製品を製造するとは、ずいぶん思い切ったことをするものであるが、勝算はあった。今を遡ること30年以上前、ヨーロッパを訪れた際に、路面の排水溝にグレーチングが多用されていることを知る。当時まだ排水溝のフタといえばコンクリート板ないしは鋳物であった日本でも、これから順次グレーチングに代わっていくのではないか、と将来性を見通していた。今では参入が相次ぎ十数社が参入する激戦市場になりつつある。先見の明があったことの証左であろう。

■戦略的海外展開

同社の特徴の一つに戦略的な海外展開がある。

当時まだ「カントリーリスクが高い」といわれていた1995年、上海へ進出。自社ブランド商品であるグレーチング製造工場を立ち上げる。これにより、中国では規格品、国内では特注品と製造分担することで、規格品に対するコスト削減対応と特注品に対する細かなニーズ対応を両立させることに成功した。

続いて、1999年には(株)豊田自動織機の海外展開に歩調を合わせるように、アメリカ・ウエストバージニア州に油圧シリンダー工場を立ち上げる。

さらに、中国市場の拡大が見込めると考えるや、2006年に5社共同で自動車用プレス製品工場を立ち上げる。
なぜ5社か。中国国内でプレスの仕事をフルラインナップで受注できるようにと、小型プレスが得意な奥野工業をはじめ、大型プレス・中型プレス・精密プレスが得意な企業が集まり、さらに販路チャネル確保のため商社も含め5社が結集した、戦略的共同会社を設立したのである。

■ボーダレス発想に人材育成

こうしたグローバル展開を支え、ものづくり企業としての磨きをかけるために、人材育成に力を入れている。
英会話研修や技術研修などのような必要なスキルを磨く研修のみならず、ボーダレスな発想ができる人材を育成するため、経済動向や業界動向などのマクロ的な研修を行うなど多岐にわたっている。
現場力を高めるため、QC活動も社内発表会を年5回実施し、今年で120回を数えるまでになった。

また「明るく・元気で・素直に」という企業風土を作るため、全員参加での「あいさつ活動・清掃活動」を行うほか、毎月の誕生日会の開催などコミュニケーションを高めることにも力を入れている。

「製造業でモノをつくるのは人間です。もちろん、実際に加工するのは機械等ですが、機械は道具にしかすぎません。人材が潤沢にいる大企業と違い、中小企業は、社員のベクトルを合わせていかなければ大きな力は発揮できません。そのためには、目標・ビジョンを立て『自分たちが向かう先』をはっきりさせ、それに向かってプラス思考で対処する姿勢を作り、さらには到達する努力をしていく必要があります。それを実現するために人材教育には、とにかく、力を入れているのです」。

不慮の事態から社長に就任して二十余年、社員のベクトルを合わせることに不断の努力をして成長を続けたトップの言葉である

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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