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設計力でものづくりに「挑む」
鳥越 豊 記事更新日.09.06.01
株式会社鳥越樹脂工業 代表取締役社長
■問合せ先
株式会社鳥越樹脂工業
〒491-0833 一宮市平島二丁目6番20号
TEL 0586-77-9191(代)  FAX 0586-77-9016
http://www.torigoejyushi.co.jp/
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■ものづくりに一目ぼれ
社会人野球を辞めて、失意の中、居酒屋通いを重ねる青年がいた。ある日、彼が通いつめる居酒屋で偶然隣の席にすわったのが野球好きの社長。社長は彼に「やることがないのなら、うちで働かないか」と声をかけた。誘われるまま連れて行かれたのが樹脂成形加工の工場。図面が見る見るうちに形になっていく「ものづくり」の現場を見て、「これだ」とワクワクするのを抑え切れなかった。「ものづくり」に一目ぼれした「彼」こそが、後の株式会社鳥越樹脂工業創業者となる鳥越豊氏である。
誘ってくれた社長に「働かせてください」と即答した。そしてこう続けた。「でも使われるのはいやです」。思わぬ一言であったが、社長は「それなら2年間で覚えたら独立したらいい」とだけ言った。「それからというもの、年4200時間、正月も無休で働きました」と鳥越氏は振り返る。
2年間の修行で技術を身につけ、1年間のお礼奉公の後、1984年1月独立を果たす。「創業は1月1日、家賃35,000円、12坪の小さな工場でした。『挑む』という2文字を自分の中の銘としました」。
■一度目の危機で原点に立ち戻り、CADを先行投資
独立後は、勤務時の社長の紹介もあり、自動車メーカーの試作品の樹脂成形加工を行なっていた。当時はATレバー周辺の樹脂部品の試作品を月に100個程度手作りで製造していたが、客先のあらゆる要望に対応し、様々な内装部品を手がけるようになる。当時は、テスト車両も多く、オーダーはどんどん拡大、人も雇うまでになった。「当時は、何しろ忙しく『徹夜ができること』が採用条件でした」と苦笑いする。
しかし、1992年、一度目の経営危機がやってくる。
当時の売上2.4億円のうち2.2億円を占める発注企業が、経営方針の転換により試作品の取り扱いをやめたのである。「取引先の動向に目が届いていないことや、1社集中の受注体制であったことを後悔しましたが、後の祭りでした。しかし、幸いなことにまだまだ試作の仕事自体はありましたので、自動車部品メーカーを必死で営業にかけずり廻りました。
10社ほど開拓できたおかげで、売上を2.2億円まで戻すことができました。仕事自体は、まだまだあった時代なので、運が良かったわけです。いずれにせよ、一社集中はコリゴリだと思いました」。
そして、何より反省したのは、他人の決めた仕様で決められたことだけしかできなくなっている「ものづくり」を続けていたことである。「設計図面のとおりものができていく、あの、ものづくりに出会った頃のワクワク感が自分の原点だ。であれば、相手の決めた品質・企画だけでするのでなく、自社で設計する提案型の『ものづくり』をする企業にしたい」と考え、厳しい経営環境でありながら、まだまだ大手企業でも導入が少なかった設計用の三次元CAD(CATIA)への設備投資を行なうのと同時に、設計者の育成にも力を入れ、設計部門の強化を始める。
■二度目の危機と2つの「打ち手」

二度目の経営危機は1998年にやってきた。
売上は8.1億円、取引先数で30〜40社までに成長していたが、自動車産業で進む、デジタルモックアップとCAEによる「試作レス」の波に飲まれ始めたのである。20個、40個あった発注試作品が1個に、場合によってはゼロになり、売上は5億円にまで落ち込んだ。
この時、鳥越社長は2つの手を打つ。その推進役は「設計機能」である。
1つ目は、CADの先行投資により培った「設計力」を活かすこと。設計段階からメーカーと打ち合わせを行い、設計・デザインから組立・納品までの一貫生産での受注を拡大することを考えた。
生産といっても、大量生産の部品を受注しようとは考えていなかった。試作品製造で少量多品種の生産体制は当社の得意とするところ。その体制を活かすことができる分野として、自動車ディーラーなどが自動車オーナーの要望に応じて発注する「オプションパーツ」の設計・生産を始めたのである。設計段階から関わることにより、取引先の動向などが先取りできるため、営業政策上でも大きなメリットがある。現在では、複数の自動車メーカーからの発注を受け、主力事業の一つとなっている。
「設計力」は自動車メーカーからの信頼を得ることとなり、メーカーの設計部門へ5名の出向者を送り込む他、レーシングカーの部品設計・製造などにも関わるまでになっている。
また商社から、設計から出来るのならと、ガソリンスタンドの巨大なネオン(LED)サインの設計・製造の話も舞い込む。難燃性・対侯性・耐風力も必要となる難しい仕事であったが、設計から製造まで一貫して手がけられることから当社への依頼となった。

2つ目は、自動車関連とは異なる分野、健康美容製品分野への進出である。
きっかけは、「健康サンダルをつくってくれるところを探している」という健康美容用品を企画販売する通販会社の開発者に、鳥越社長が静岡のメーカーを紹介したことに始まる。このビジネスが成功したことから、「次は鳥越社長とビジネスがしたい」との話しがあり、当社の製造技術と擦りあわせにより「骨盤矯正クッション」の製造が決まった。通販会社が企画・販売を行い、当社がCADでデザイン・設計し、通販会社との綿密な打ち合わせの後、製造を開始する、というフォーメーションができあがった。幸い、試作レスの影響で使われなくなっていた設備を改造することで設備投資は少額に抑えることができた。
このクッションは、ロングセラーとなり、現在までにバージョン3を重ね、累計50万個を出荷するヒット商品となった。
「当社はものづくりが得意な会社ですから、売ることが得意な企業にはかないません。しかし、そうした企業と手を組み、それぞれの得意を活かすことでヒット商品もつくれるのです」

こうして試作部門、小ロット生産部門、健康美容部門の3部門が確立、2008年は11億円を売り上げるまでになった。
■「意努夢」精神で人材力を高める

いわゆる「トヨタショック」といわれる中でも、業績は前年実績を維持できている。試作部門では落ち込みが見られるものの、2度の危機で学んだ設計力強化と業種分散とが功を奏している。特に、健康美容分野では新たなヒット商品も生まれつつあり、業績向上に大きく寄与している。
「当社を支えているのは設計から製造までできる『開発力』です。先行投資したCADのおかげで設計段階から提案できるようになっていることも営業政策上非常に大きな力となっています。ただ、開発力は、つきつめれば『人材』です。CADを導入したときの初めての担当者は現在設計部門のトップとなり、現在50名ほどの社員のうち17人が所属する設計・開発・デザイン部門を引っ張っていってくれています。また、全社員に経営理念や社訓、環境方針を記載した経営理念カードを持たせ、その浸透に努めています。社訓の「意努夢」は創立時の「挑む」という銘をもじったもので、『夢』をかなえるには『志(意欲)』と『努力』が必要だ、という思いが込められています。この『意努夢』精神で、どうしたらお客様の要望に応えられるか、を考えることを社員に徹底し、お客様と共に成長していければと考えています」と語る鳥越社長である。
取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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