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「かゆいところを見つけて提案」、放電加工機とともに成長
深井 重貴 記事更新日.10.11.01
 有限会社 サンメンテナンス工機 代表取締役
■問合せ先
有限会社サンメンテナンス工機
〒458-0025 名古屋市緑区鳥澄二丁目103番地
TEL 052-624-8481 Fax 052-624-8509
http://www.smk-web.co.jp
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■独自技術が支えるワイヤ放電加工機フィルタークリーニング
放電加工技術は、金属に触れずに加工する「非接触加工」技術である。電極と加工物との間に放電(落雷)現象を起こすことで、切断加工する技術である。
有限会社サンメンテナンス工機の創業社長である深井重貴氏がワイヤ放電加工機用フィルターのクリーニング事業を立ち上げたのは1985年のことである。ワイヤ放電加工機といえば、当時はまだ非常に高額な設備で『持っているだけで儲かる』と言われるほどでした。そんな中、電極線を取り扱う商社に勤めていた私の弟から『現場の人達が加工機のフィルターを苦労して洗っているが、気休め程度にしかきれいにならず、すぐに交換をしなければならないため、かなりコストがかかっているらしい』と聞いていたのがこの事業を始めるきっかけでした」と深井社長。
「調べてみると、フィルターの多くは銅が酸化してロクショウで目詰まりを起こしていました。私が大学で表面処理の研究をしていたため、これはメッキ技術を応用すれば目詰まりを落とすことができるのではないかと思いついたのです」。
使用する溶剤を始めとして試行錯誤の結果、独自手法を開発、フィルターの洗浄サービスはユーザーの大きな支持を得た。

■フィルタークリーニングをリサイクルの仕組みとして構築・発展
さらに「使い捨てられているフィルターを再生し、再利用することができれば」と考え、洗浄・交換が容易なフィルターを開発。使用済みフィルターを独自のクリーニング技術で再生させ、フィルターから取り除いたスラッジも捨てずに舗装の人工骨材として利用する、というリサイクルの仕組みを作ることに成功した。
これに真っ先に飛びついたのが大手自動車メーカーである。納入基準が厳しいことでも知られるこの会社が、フィルターの取り替え費用が削減できるだけでなく、環境保全も考慮しダウンタイムも削減できるなど大きなメリットが高く評価、導入を決めた。
フィルタークリーニング事業を進める中、取引先から寄せられる加工機に関する様々なメンテナンスニーズがあることを知り、その事業範囲を広げていくことになる。
加工機に使用される加工液は、冷却、加工屑の排出等の役割を持ち、劣化度合いは即加工精度に影響を与える。そのため、イオン交換樹脂を通すことにより劣化を食い止めているが、反対にイオン交換樹脂は劣化し、一定期間ごとに交換する必要がでてくる。交換時には、据付の容器から樹脂の取り出し、袋詰め、容器への充填など手間も時間もかかり、現場では交換のたびに作業停止を余儀なくされていた。これを日本で初めてボトルカートリッジ化、ダウンタイムを大幅に削減することに成功した。使用済イオン交換樹脂を高炉用熱源として再資源化するリサイクルの仕組みも構築した。
これらの取り組みが評価を受け、2004年名古屋市認定エコ事業所の認定を取得することとなる。

■純正部品市場に風穴
フィルターメンテナンス事業が軌道に乗り始めた1990年頃、海外でも放電加工機が普及を始めていた。現地では純正部品に決して劣らないパーツがサードパーティ製で造られていた。一方、国内では放電加工機関係の消耗品類は、品質は非常に良いが高価なメーカーの純正部品がほとんど使われている状況だった。そこのギャップに目をつけ、安価でも一定レベル以上の良質の部品を輸入、消耗品のサプライヤーとしてそれまでの商習慣に風穴をあけ、ユーザーに大きな支持を得ることとなった。現在では、プライベートブランドによるワイヤ電極線・フィルター・周辺部品なども販売するまでの規模になっている。
■「加工ラボ」の戦略的活用法
当社の1Fではワイヤ放電加工機のハイエンド機を設置し、「加工ラボ」として位置づけている。
実はこの「加工ラボ」、新たなユーザーニーズを見つけ出すための加工技術の向上だけでなく、販売戦略上のいろいろな顔を持つ。

まず、「加工機販売のためのショールーム」としての顔である。 設置されているのはハイエンドで特殊な機械。このような加工機を購入しようとする企業からは「加工能力を目で見て確認したい」というニーズが発生する。そこでメーカーと連携して、当社のラボを「展示場」代わりに使い「どこまで加工ができるのかテストをさせて欲しい」というニーズまで引き受ける。こうして販売に成功した企業へは、当然のように当社のエンジニアリング、メンテナンス、消耗品等、幅広いビジネスへとつながる。
次に「加工工場」としての顔である。
「加工を請け負うことには、さまざまなメリットがあります。当社では高度で難加工な案件を中心として賃加工を請け負っています。残念なことですが、加工の仕事の多くが海外に移転し始めており、日本にはこうした精度が厳しく難しい技術を持っている企業でなければ生き残っていけないのではないかという危機感があります。お客様のニーズを同じ目線で受け止めるために、当社も技術を磨き続けることは欠かせないことで、そのためにも賃加工の請負を行うことは重要なのです」。
そして「賃加工と販売ビジネスのシナジー効果を生む」顔である。 賃加工の仕事を行うことで、加工機の販売先でオーバーフローした部分の加工を引き受けたり、逆に、販売先での操業度が確保できないときには当社の仕事を回したりすれば、顧客の安定操業にも寄与することもできる。
「お客様にしてみれば、設備投資の最大のネックは操業度が確保できるかどうかです。導入したが仕事はなかった、ではどうにもなりません。でも、当社で購入していただければ、当社の仕事をお手伝いいただくことでお客様の操業度の安定に貢献できますよ、ということをご説明します。賃加工仕事を行うことはこんな効果もあるのです」と深井社長はメリットを語る。
他にも、加工機のデモを見に来た企業が「こんな加工もできるのか」と加工の仕事につながったりすることもあるなど、加工技術を持つことによる相乗効果が大きいことを実感しており、放電加工技術の延長として表面処理装置も導入した。
その処理装置では、従来のショットブラストが加工表面を硬化させることを目的として金属球を打ち付けるのに対し、当社では樹脂を衝突させることで表面を硬化させずに表面処理することができる特徴を持つ。樹脂金型に付着したデポジット(樹脂焼け)を形状を崩さず除去することや、滑り性を良くすることで離型性が向上するなど、従来のビーニング技術ではできなかった表面処理を可能にしている。

■独自技術開発へと原点回帰、リーマンショックを期に利益率上昇
「独自開発のフィルタークリーニングは、そのリサイクルの仕組みへと発展し、その仕組みはイオン交換樹脂へと広がりました。一方、加工機に関する消耗品のサプライ事業は、自社内の難加工請負、関連技術加工へと発展し、加工機の販売に関わるまでになりました。しかし、経営者として売上高という数字を追ってしまうあまり、それが稼げるサプライ事業に力が入り、利益率が低下してしまっていました。3年ほど前「これではいけない」と原点に帰り、独自技術としてフィルター類の開発にも取り組んできました。その結果、2007年には中部経済産業局から3Rを実現したフィルターとしてモノ作りエコデザイン製品として認定をいただき、2009年にはものづくり中小企業製品開発等支援事業(試作開発等支援事業)にも採択されました。こうした取り組みが実を結び、リーマンショックなど厳しい経営環境にも遭遇しましたが、利益率は大きく上昇しました」。
今後は、顧客の要望を先取りする、いわば「かゆいところに手が届く」だけでなく「かゆいところを見つけて提案する」独創的サービスを複合的に高い質で提供していくことで、放電加工業界とともに進歩していきたいと語る。
「ワイヤ放電加工機に特化して非常にニッチな市場で事業展開をしてきました。創業25年になりますが、まさに加工機が出始めてから成熟していく過程で一緒に成長することができました。当社のノウハウが、加工機メーカーへも少なからず影響を与えたのではないかと自負もしております。今後も独創的で質の高い価値を複合的に提供していくことで、お客様の得意技術やサービスをより高めていくお手伝いができればと思っています」。
取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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