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付加価値の高い仕事を考え続け、下請企業から脱皮
廣瀬 雅弘 記事更新日.11.01.05
東海高周波 株式会社 代表取締役
■問合せ先
東海高周波 株式会社
〒454-0848 名古屋市中川区松ノ木町1−46
TEL 052-351-7341戟@Fax 052-352-5181
http://www.t-koshuha.co.jp
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■長尺シャフト焼入技術を得意とする金属熱処理企業
高圧・高周波の電流が流れているコイル中に金属を入れると、電磁誘導作用により渦電流が起こり同時に金属表面へ熱が発生する。この熱を利用し金属の表面硬化(焼入れ)を行うのが高周波焼入である。
コイルへ通過させることで焼入れが行われるため、棒状のものや単純な形状のものは短時間で表面処理をすることができるメリットがあるが、複雑な形状のものは均一に焼入れをすることができないため不向きであるとされる。
高周波焼入れの専業者として、最長10mまでの長尺のシャフトやパイプシャフトの焼入れを行える数少ない企業として知られ、工業機械部品、ベアリング部品、一般産業機械部品からエレベーター部品、免震機構用部品といった特殊部品まで様々な金属熱処理を行っているのが東海高周波株式会社である。

■バブル崩壊後の社長交代、仕事量1/3からの立て直し
東海高周波鰍ヘ、昭和38年、現社長の廣瀬雅弘氏の父親が当時取締役を務めていた熱処理会社が倒産したことから、名古屋工場の営業権を引き継ぐ形で設立された。
廣瀬雅弘氏が父親から社長を継承したのが平成5年10月。
「当時はバブル崩壊後で仕事も1/3しかありませんでした。焼入れの仕事は加工業者の下請けの工賃仕事がほとんどのため、このままでは自社の発展はありえない。ではどうやって生き残っていけはいいのか、ということを考えていました。そこで、考え至ったのが『当社がどうやったら付加価値のついた取引をすることができるか』ということでした」。
その答えが次の三つである。

■付加価値の高い焼入れへの特化
一つ目は技術や取引の絞り込みである。
「賃加工の仕事は発注先の動向に大きく左右されてしまいます。また、納期もかなり厳しい。実際、納期に対応するため当社では1日以内で往復できるところ、つまり、愛知県の西部、岐阜県の南部、三重県の北中部までが限界です。これでは業績の向上や安定は非常に難しいということです。そこで考えたのが量産品はなるべく扱わず、少量だが難しい物、付加価値の高い部品への熱処理に特化していくことです。それには相応の技術も必要ですが、もともと長尺ものの焼入れ技術などで、業界内でも一定の評価はいただいていたため、そうした特化をすることが可能となったのです。今でも金属熱処理の一級技能士資格を持つ社員が4人いるなど技術レベルの向上に努めています」。
現在は、スピンドル(モータ駆動軸)、クランクシャフト(ピストン運動を回転運動へ変換する部品)、大型歯車などの受託加工の他、フェースカム(動力伝達機構部品)などの大型旋盤加工機部品、エレベーター部品、高層ビルの免震機構部品といった小ロット・一品物・特注品など量産のきかない高周波焼入れを行っている。

■単身台湾へ売り込み、L/Cを活用し資金繰りを改善
二つ目は海外取引である。
「社長を引き継いだ当時は取引の7割が手形で、そのサイトも数ヶ月のものばかり。資金繰りが非常に苦しい状態でした。利益面で付加価値の高い仕事をすることも大切ですが、経営面で付加価値の高い仕事である「資金繰り」を何とか楽にできないかと考え、目をつけたのが海外取引です」。 貿易取引では、多くの場合L/Cとよばれる信用状決済が行われ、輸出者は船積みと同時に輸出代金を回収することができる。この方法を利用すれば資金繰りが楽になるのではと考えた。問題は海外での販路開拓である。
「アポ無しで単身台湾に乗り込みました。焼入れシャフトを持ち込んでの商談でしたが、なんとかお取引先を見つけ、平成6年3月には2千万円の受注をいただくことができました」と廣瀬社長。
この取引の売上をすぐに換金するのを見た金融機関からは大型融資の提案をうけ、資金繰りを大きく改善することに成功した。
「これ以降、新規取引は手形取引をお断りし、既存の大口取引先もファクタリングの方法などにより資金繰りの改善に努めてきました。今では手形取引をなくすことに成功しました」。
台湾でのとびこみ営業から始まった海外取引は、韓国、中国、タイなどへと拡がっている。

■全国への長尺シャフト販売、従来の取引関係を活用した新たなステージも
最後が自社ブランド製品の国内販売である。
当社の特徴の一つである10mまでのセンタレス焼入れ(中心を両端で固定するような中心軸を取らずに外周を加工する方法:長尺物では両端の固定が困難なためこうした特殊な加工技術が利用される)技術をもとに、長尺シャフトやパイプシャフトの製造販売を平成5年8月より開始する。「シャフト販売は全国が取引先になります。今までの受託加工の取引先が往復1日の範囲に限定されていたことと比べると比べものにならないほど大きなポテンシャルを持っています」。

材料調達は商社を通すものの、新日鉄や神戸製鋼などの日本メーカーから調達、焼入れを行っている。
「昔から焼入れ工程で問題があると材料屋と焼入れ屋が『焼き入れ方が悪い』『いや、材料が悪い』とけんかをするものです。しかし、自社で品質チェックをした材料を仕入れ、自社で焼入れを行うため責任の持てる自信の商品として売ることができるのです。また賃加工だけでなくシャフトとして売ることで付加価値も高くなります。
従来の最少注文ロットを下回る小ロットだけ必要なお客様からすると、1本からでも必要なだけの調達が可能になります。ユーザー側は、それを必要な形状に切ったり加工したりし部品を作っていくのですが、将来的にはシャフトの購入企業へこうした加工工程も当社で受注し、より付加価値を高めていくモデルも考えていきたいと思っています。受注した加工工程は、加工が得意な企業へ形状加工の仕事をお願いすることになるのですが、お願い先は、実は現在当社へ焼入れの仕事を発注してくださっている企業になるのです。こうした企業は、旋盤が得意であったり、丸もの加工が得意であったりと独自の技術で加工をし、当社で焼入れをしています。つまり、このモデルができると『双方へ仕事を出し合う』という、技術を持った企業同士が一緒に生き残っていくための新しい形のコラボができるのではないかと思っているのです」。

■細径焼入れシャフトを始めとしたラインナップ充実で自社ブランド強化
平成22年10月には、こうした自社ブランド製品の拡充を行ったばかりだ。細径焼入れシャフト、調質シャフト、軸受け、グリースなどのラインナップを揃えた。特に「細径焼入れシャフト」は『ものづくり補助金』の採択を受け開発した自信作だ。
これは線材の特殊鋼をさらに延ばし細径にしたシャフトに高周波焼入れを行った製品で、軸径2mm〜6mm、最長2mという「細径で長尺」が特徴である。軸径の外径1mm分の厚さで焼入れがされ、軸径が4〜6mmのものは中心部が材料の性質が残っているため材料の粘り強さ(靭性)を残すことができる。素材の矯正、焼入れ、焼入れ後の矯正など、長尺焼入れを得意とする当社のノウハウと開発技術とを組み合わせることにより可能となった。従来課題となっていた細径シャフトならではの歪みの問題もクリアされ、当然小ロットでの生産もできる。反響は大きく、ニードルローラー、ミニチュアストロークシャフト、ミニチュアボールネジなどへの活用など幅広い産業でのオファーが舞い込む。
「調質シャフト」はこの細径シャフトを使用用途に焼き戻した製品で、強い強度と高い靭性を得られ、HRC26〜45の範囲で調質することができる製品で、モーター軸などに利用できる。
「軸受け」は中国などの東南アジア製の材料で現地の協力工場に生産委託することで、従来市場価格の半額程度におさえることが可能となった。
「グリース」は、従来のベアリング部品製造の取引関係を活用、油脂メーカーからのOEM供給を受ける。
「社長就任以来、付加価値を高めるためにどうしたらよいか、を考え続け、受託加工、輸出取引、自社ブランド製品の国内販売などに取り組んできました。ものづくり補助金を活用した独自製品の開発を始めとした今般のラインナップ拡充でようやくコマが揃ってきたという実感があります。今後も技術を高め、顧客に新しい価値を提案していきたいと考えています」と語る廣瀬社長である。

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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