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成熟市場のロープ業界、ホームページで新規需要開拓に成功
稲葉 隆志 記事更新日.11.11.01
稲葉製綱 株式会社 代表取締役
■問合せ先
稲葉製綱 株式会社
〒443-0104 蒲郡市形原町狭間11番地
TEL 0533-57-3181Fax 0533-57-3185
http://www.i-rope.jp
印刷用ページ
■繊維ロープ全国トップシェアの蒲郡市形原地区
繊維ロープの国内シェアは、蒲郡市形原町を中心として愛知県が4割を占め、全国トップである。形原は明治初頭に小島喜八氏が浜松の喧嘩凧用に強度のある麻の凧糸を効率よく撚る機械を発明、その技術を周囲に教えたことからロープ産地となった。
そうした産地で業界の常識にとらわれず新たな取り組みで注目されているのが稲葉製綱株式会社である。

■減少する繊維ロープ需要、ホームページを営業ツールに
当社は産地の追い風を受けた大正12年、稲葉金治郎氏が創業、昭和14年に法人化する。戦後も形原へは漁業関係者よりロープや漁網の注文が集中し、昼夜を問わず綱や網を作り続け、昭和40年代には地域の就業者数1万人、100社を数えるまでになっていたが、200海里問題などによる遠洋漁業の衰退で大打撃を受ける。
「形原のロープ産地も現在ではある程度の規模のある企業は15社、家業で操業しているところも20社ほどに減少してしまいました」と話す現社長の稲葉隆志社長。
「漁業での需要が激減してしまったため、需要先を陸上へ求めることになりました。土木建築用や農林業、酪農用向けに転換していきましたが、そこでもロープを使用していた部分が、ベルトやラチェット、ワイヤーに置き換わるなど、繊維ロープの機能が他に代替していき、この分野も需要減となってしまいました」。
そこで3年ほど前、会社案内程度であったホームページを一新、「営業ツール」を強く意識した内容にしたところ、ネット経由の注文が40倍に増加するまでの効果をあげた。

「ホームページのリニューアルにあたっては当社にはどのようなポテンシャルがあり、お客様には何が提供できるかということを前面に出しました。一つは長年積み上げたノウハウとJIS認定工場であること、さらに自社試験検査設備や専属検査員を持ち、品質面では絶対の自信があることをPRしました。これは他社にはない当社ならではのポテンシャルです」。

■品質と小ロット・短納期で新たなビジネスモデルを
創業88年の間、素材が天然繊維から合成繊維へと変化し、要求される品質への対応を求められる中、様々なノウハウを培ってきた。また、JIS認定工場は国内で14社程しかない上に、自社試験検査設備を持つのは中小企業規模では他社ではない特徴であり、品質の高さには自信がある。

「もう一つのセールスポイントとして、生産計画の中で可能な限りの短納期を、そして小ロットのオーダーにも対応する、という当業界では先進的な取り組みをすることにしました。さらに必要であればそうしたオーダーであっても、営業マンが現場を訪問し提案や納品状況の確認をすることで、様々なニーズを的確に把握することにしました」。
繊維ロープ業界では、その割合が減ったとはいえ、まだまだ漁業関連が大きな割合を占めている。漁業者向けビジネスでは、年間の季節サイクルでの注文が固定的になっており、メーカーをわざわざ変えるということもほとんどないため、生産サイクル面でも非常に安定的な取引が確保できていた。しかしその反面、代金回収は水揚げ後という場合がほとんどで、メーカーではそうした回収オペレーションが非常に困難なために、地域ごとの販売代理店経由でのビジネスがほとんどとなっている。
稲葉社長はこうした従来のビジネスモデルだけに安住することなく、何とか新たなビジネスモデルが構築できないかと考えた。つまりは、漁業者だけでなく、個人向けを含めたより広範な販路の開拓を狙おうと考えたのである。そのためには、小口需要への対応、あるいは従来の注文サイクルとは異なるオーダーへの生産体制の構築が必要になる。これが小ロット・短納期対応である。
「こうしたことは他の業界では珍しいことでもないのですが、非常に安定的なビジネスモデルを持つ繊維ロープの業界では、目新しい取り組みとしてとらえられたようで、様々なオーダーをいただくようになりました」。

■今まで見えなかったオーダーがホームページ経由で飛び込む
多様なオーダーの中には、特殊な用途で安全性・ロープの品質を厳しく問われ、非常に神経を使う内容もある。
自然分娩にこだわる都内某有名産科クリニックからは、日本古来の出産法で妊婦が捕まる「生み綱」のオーダーを受けた。捕まりやすい太さ、硬さといったロープの性能だけでなく、天井への取り付け方法や金具に至るまでの提案を行った。この評判を聞きつけた他の産婦人科からもオーダーを受けている。

つなひきロープについてのオーダーはよくあるが「市の境界線をまたいで100人vs100人のつなひき合戦を行いたいのだが、どれぐらいの強度のロープが必要なのかわからないので見積もってほしい」という特殊な問い合わせにもていねいな対応をする。
遊具などへの展開も積極的で、東京の保育園からはロープを使った遊具を導入したがメンテナンスをしておらず、ロープも弱ってきているがどこへ頼めばいいかわからず困っている、というオーダーを受けるや営業マンが現地へ訪問し、提案を行っている。

「こうしたオーダーは従来はどこに頼めばいいのかわからず、大手のロープ会社に相談しても採算に乗る話ではないので、ケンもホロロというケースもあったようです。当社としてはわざわざホームページを探していただいて、困ってご連絡いただけるのですから、何とか対応しようと考えるわけです。『そうした小さな注文をこなしても手はかかるし、ロットは小さいはで採算が合わないでしょう』と言われることもあります。しかし1つ1つの取引は小さいのですが利益率は確保できます。それを積み重ねる事で利益も確保し、人から喜ばれる仕事もできます。」と稲葉社長。
こうした単発の仕事だけでなく、BtoBの大きな仕事につながるケースもある。 ホームページを見た大手企業からは「電気工事の安全帯(命綱)の新たな提案を考えており、ロープの製造をお願いできないか」という問い合わせが入る。安全帯に使用されるロープは要求が大変に厳しく今は3〜4社の独占市場となっており、大手企業といえど、そうした厳しい市場へ参入するためには他社にない特徴が必要と考え、長年築き上げた実績のある当社技術に目をつけたのである。
「品質には絶対の自信がありますので、お声がけさえいただければ必ずよい提案ができる自信があります。しかし当社のような中小企業ではなかなかお声がけいただくことができません。そのPRのための営業ツールとしてもホームページは大いに役に立っています」とその効果に目を細める。

■スタッフとの信頼を深め全社員のベクトルを合わせ、90周年を
現社長が入社したのが15年前、社長就任は9年前の36歳。
「入社当初は私が一番年下で、いろいろな社内改善の提案をしてもなかなか思い通りにいきませんでした。そこで、自分とこれから30年一緒に気持ちを併せてやっていけるスタッフを一人、二人と増やしていき『何のために仕事をするのか』という経営理念づくりから一緒に始めました。会社として新しいことを始めるには、社員のベクトルを合わせなければ進められません。それには自分を相手が信用してくれるまで一所懸命にやらなければなりません。結局、仕事をするのは『人』で、どれだけ社員が同じ考えで前向きに仕事をするかが非常に大切で、社員の方向性を合わせることを今後もやっていきたいと思っています」と創立90周年に向け意欲を語る稲葉社長である。

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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