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「なくてはならない企業」に向け、磨け、植毛加工、樹脂成形技術
丹下 勝康 記事更新日.12.04.03
株式会社ティーエヌ製作所 代表取締役社長
■問合せ先
株式会社ティーエヌ製作所
〒491-0832 一宮市若竹四丁目2番9号
TEL 0586-77-1313 Fax 0586-77-1366
http://seidenshokumou.com
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■中・小型の樹脂成形で自動車内装部品を生産
株式会社ティーエヌ製作所は1969年2月、前社長である丹下末男氏が轄イ々製作所より分離独立する形で設立。独立時に名古屋ゴム梶i現、豊田合成梶jからの仕事を引き継いだ。
創業時は支給されたゴム素材へのカット・穴あけ・接続などの賃加工をしており、ゴム製品への静電植毛加工もその一つでした。ところがゴム部門が遠方の工場へ移ることになり、同時に植毛工程も内製化されたため、やむなく植毛はあきらめ、受注の主力は押し出し成形による樹脂成形へ、更には射出成形へと変わって行きました。射出成形機の価格は賃加工のみの当社には非常に高かったので、 中古機を購入してなんとか事業転換にこぎつけました。大型の加工機はとても買えず、 中・小型の成形機を買い増しながら事業を 拡大していくのですが、このことが結果的に 中・小型機でできる自動車内装部品を中心 とした現在の受注体制のもとにもなりました」 と現社長の丹下勝康氏。

■自動車は「走る応接間」。自社で何ができるか?
発注元の事業形態の変化に対応していくことは当然のことではあるが、それだけに流されるだけでよいものか、と自社の足元を見つめなおす必要性もこの時期感じていた。
「内装部品を中心に受注し続けるために、当社として何ができるのか」。
自動車を「走る応接間」とするならば、内装部品にはリラックス感やゴージャス感の演出が求められるのではないか。ただ単に樹脂成形をするだけでなく、当社ならではの加工技術を加えることができれば、今後安定的に受注を続けられるのではないか。
「そこでかつて行っていた植毛技術が活用できないかと考えていたところ、豊田合成鰍ゥらも樹脂への植毛加工の打診もあり、自分たちの考えていた方向性が間違っていないことを確信しました」。
静電植毛加工とは、表面に接着剤を塗布した基材に強い電界を与えると、静電気により短繊維(パイル)が立つように接着する性質を利用して繊維を表面に均一的に植えつける表面加工である。高級感を演出する装飾として利用される他、断熱、防音、結露防止、摩擦防止など多様な機能付加が可能で、シートや布張りができない形状のものでも均一加工できる特徴を持つ。コタツの金網が加熱し過ぎないための表面植毛加工が代表的である。
又、大物製品(120cm×60cm)にも対応出来る設備も保有をしているとのこと。

自動車生産量の伸びとともに2工場を新設、塗装ラインを含む樹脂成形から塗装・植毛、組付けまでの一貫生産体制も確立した。90年代初頭までは景気の波に乗り拡張を続け、受注量を伸ばすことに力をいれた「拡大」優先の時期であった。

■量を追うより質を。樹脂成形技術を磨く
バブル経済の崩壊とともに生産量が減少を始めたことから、量を追う経営から転換をし、質の向上を追うことに力を入れ始め、まずは管理面の質を向上させようとISO等も取得した。
こうした成果もあり、現在は、豊田合成鰍謔闖d要保安部品工場の認定を受け、ハンドルパッド等の製造を任されている。
ハンドルパッドとはステアリングホイールの中心部分の部品で、ここを押すとクラクションがなり、衝突時にはここからエアバックが噴出し人命を守る。つまり「クラクションとしての使用に耐える強度」と「エアバック噴出時には割れる薄肉厚の確保」という微妙なバランスを両立した部品であり、それを作っているということは、裏を返せば、そうした微妙なバランスの部品を、安定的な品質で製造できる技術力が当社に備わっているということの証明でもある。

さらなる射出成形技術の向上に向け、独自技術の開発にも余念がない。
平成21年には「ウッドプラスチック超臨界微細発泡成形による断面7層成形体の成形技術・金型技術の開発」という課題で、高度なものづくりを行う企業を支援する「中小企業ものづくり基盤技術高度化法」による国の認定・助成事業に採択を受けた。
これは射出成形で木調風合いの樹脂成形を行うことをめざしたもので、木粉と樹脂を混合する際、空気成分を超臨界に発泡させることでより多くの木粉の混合が可能になる現象を利用し、従来よりも軽量(従来比20〜30%減)でより高い木質感を持つ樹脂を射出成形することができる技術である。これを海外からも多くの来訪がある「国際プラスチックフェア(IPF)」へ出展したところ、さっそくエコ技術に強い関心を持つ米国企業から引き合いがあり、商談が成立するなど、高い評価を受けている。

■発注元と磨いた独自の植毛技術に強み。自動車部品以外の展開も視野に
植毛技術についても、他社に先駆け、より質感のよい「ファイバーコーティング」技術の習得・構築にも力を入れてきた。
「これは豊田合成鰍ニ1年半ほど試行錯誤を繰り返し、ガンスプレーで行う0.88テックス(1000mあたりの重さが0.88g)という非常に細い毛の植毛技術です。従来の植毛方法では少し形状が複雑になるだけで植毛しにくい部分ができてしまいましたが、ガンスプレーであれば裏面でさえも植毛ができるようになります。しかしこの技術確立には、成形物の形状に合わせた植毛の膜厚設定、接着剤の膜厚及び塗布の際の温度・湿度等のパラメーター設定など様々な技術要素や、効率よく接着剤を塗り、植毛するための治具の工夫など多くの課題をクリアする必要があったのです。試作段階から発注元と提携できたからこそ可能になった生産技術でした」。

こうした技術の他、射出成形の源流である金型設計を自社対応すべく、3次元CADの導入を実施すると共に、その人材育成を図り、金型〜植毛まで一貫体制を確立している。現在は「ピラー系」とよばれる屋根とボディをつなぐ部分の自動車内装部品が主力に生産 を行い、植毛については多くは高級車や高グレードモデルにおいて、シートベルトが引き出される柱部分やフロントガラスの両サイドの部品に採用されている。

植毛加工の別の切り口として、ファブリック巻き(布張り)加工も行っている。樹脂基材にファブリック(布)をプレス機等を使って圧着・張り付けをする表面加工処理で植毛よりも厚みがあり高級感が出せる加工方法である。樹脂成形しながらファブリック巻きを行う技術にもチャレンジ中で、植毛の発展バージョンとして今後の成長を期待している。

「植毛加工もコスト安を求め、自動車関連以外の分野でも多くの案件が海外へ出て行ってしまいましたが、実は、最近は国内へ戻ってくる動きもあるのです。品質に問題がありパイルがはがれてしまったり、溶剤や接着剤のMSDS(指定化学物質を指定の割合以上含有する製品の情報提供管理)などの管理があいまいであったりするためで、こうした品質面、安心・安全へのニーズを満たす限りまだまだ可能性があるのではと考えています」。
こうした可能性から、植毛技術専用のHPを新たに開設し、自動車関連以外にも積極的なPRを始めている。今までも、フローリングを傷つけないための掃除機用先端ブラシ、触感を高めるためアイボの高級バージョン機種、結露対策としてエアコンルーバー(吹き出し口の風量調整部品)等の受注実績を持つが、「意外と『植毛』というものを他業界のデザイナーの方がご存じなく、ご紹介すると強い関心を持っていただけるのには驚きであり、他業界との取り組みで視野を拡げることで、従来とは違った角度での技術力向上をし、それをまた自動車部品加工に反映させていければと考えています」とのこと。

■経営計画を社員に浸透させるポケット版
こうした事業展開を全社的にベクトルを合わせて行っていくために、毎年『経営計画発表会』を行っている。
「予め定めている中期計画をもとに、今年度は何をするのかという行動計画へと落とし込んだものが年度計画です。ただ、売上計画や利益計画は発注元の状況に大きく左右され、自社努力ではどうしようもない面もあるので、好調な場合、通常の場合、不調な場合の3ケースをシミュレーションし、局面ごとでの打ち手を想定したものになっています。しかし、苦労して作った経営計画も、発表会をしただけではほとんどの社員は忘れてしまいがちです。そこで、経営理念や方針、目標など社員に意識付けをしてほしいエッセンスをピックアップしたポケット版を全社員に配布し、朝礼時などで読み返すようにして浸透を図っています。次年度の計画発表会で旧年度のポケット版を回収するのですが、人によってボロボロになっているものもあれば、新品同様のものもあり、まだまだ浸透させるための努力が必要だと感じています」。

今後も技術・品質・管理力の深堀に努め、様々な打診があった際に、真っ先に対応できるような技術力をつけていきたいとのこと。 「今までに得られた信頼は大きな財産ですので、今後も『この課題であればティーエヌ製作所』とご信頼をいただき、真っ先に声をかけていただける企業になり続けなければなりません。そしてそのご信頼に何としてもお応えする。そうすることの積み重ねにより初めて『お取引先にとってなくてはならない企業』になれると考えています」。

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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