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保持ノウハウと独自刃物が生み出す樹脂の精密切削加工技術

代表取締役 磯村太郎

記事更新日.2016.4

有限会社 サン樹脂加工

■問い合せ先
有限会社 サン樹脂加工
〒485-0064 愛知県小牧市藤島町徳願寺83
Tel  0568-75-3981 FAX  0568-75-4961

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『生産現場の困りごと』を樹脂の精密加工で解決

ものづくりの現場では、より効率的に製造を行うための部品や治具が使用される。 しかし鉄製の治具はサビに悩み、軽量化されたアルミ製の治具であってももっと軽量化されれば、という悩みを持つ。それが樹脂製であっても「更新したいが、もともとの材料もわからないし、図面もないのでなんとかしてほしい」「この部分をこんな風に追加の加工をしてもっと使い勝手をよくしてほしい」など悩みは尽きない。

こうした悩みの解決のため、治具素材の樹脂化はもとより、使用環境・利用頻度に基づいた材料提案、形状変更によるコストダウンの提案や、図面のない治具のCAD図面制作サービスなども引き受ける。こうした『生産現場の困り事』を樹脂の精密切削加工技術で解決するのが有限会社サン樹脂加工である。

切削加工であれば、樹脂成形で必要な成形型も不要で、小ロットの製品や治具などの個別の要望にも低コストで機動的に対応することができる。

「不良が発生するような現場でも、こうした取り組みで革新的に変化することはよくあります。長期的に現場改善のご提案をさせていただいている企業様もあり、父の代で作った治具の更新を息子の私になってオーダーをいただくケースもあります」と語るのは当社の二代目磯村太郎氏である。



プラスチックの板加工からスタート

(有)サン樹脂加工の先代、磯村嘉孝氏は樹脂成形を行っていた会社の同僚2人とともに1978年に創業する。当時はプラスチックの板加工が中心で、アクリル板を切断、穴あけ、接着し、主に店舗内装用品、ディスプレー用品を製造していた。

評判もよく受注も増えていく中「これができるのならうちの現場で使う治具が作れないか」というオーダーも増えてきたことから、軸足を工業用へ移し、造形方法も切削加工が主力となっていった。業界内でも他社に先駆けマシニングセンターを導入し、大型治具の加工を始めるなど、加工技術を積み上げていった。

現社長の磯村太郎氏の入社は1996年。
「大学卒業後、アルバイトとして当社の仕事をしました。外から見た父の会社は『町工場』のイメージが強く、また、ものづくりにも全く魅力を感じていませんでした。ところがやってみると、これがおもしろい。自分の力や工夫でものがどんどんできていく、それによってお客さんが喜んでくれる。これを一生の仕事にしようと、他社で一定期間修行した後、正式に入社することになりました」。この後、社長に就任するのは2009年のことである。

高精度切削加工を実現せよ

高精度な切削加工技術が評価されるにしたがい、試作品加工のオーダーを受けるようになり、3D CAD/CAMシステムを導入し三次元加工に本格参入を始める。
「このころになると5/100ミリという精度が求められるようになっていました。しかし当時は、夏には40℃、冬には0℃になるような工場でしたので、その環境で精度を出したとしても、使用環境が大きく異なるお客様の現場で測定すると必要な精度がでていない、ということが起こるようになりました。そこで材料の膨張係数を測って、お客様の環境で精度が出るよう、逆算してわざと精度の外れた製品をつくったりしたこともありました。今では工場を恒温化し、切削前には温度環境の測定をしていますので、こんな無茶な加工もなくなりましたが」と振り返る。

実は、環境変化だけでなく、樹脂はいくら高精度に切削を行っても、歪みが生じる場合がある。高圧の押出成形による樹脂は成形時の圧力が樹脂の中に内包され(残留応力という)、加工時にこの歪みがでてしまうケースである。こうした残留応力を取り除くために、材料を暖めることで一旦組織を緩め、結びつきを均一にする『アニール処理』を樹脂メーカーでは行っている。しかし応力がなお残っている場合も多く、これを再度社内にて独自のノウハウによりアニール処理することで、樹脂の寸法安定性を高くし、素材ベースからの高精度加工を実現している。

様々な工夫やノウハウの積み上げにより、半導体の導通検査用の樹脂治具や液晶滴下装置のシリンジなどといった高精度部品の加工も可能にしている。

「半導体検査用の樹脂治具は、一見単純な形状に見えますが、上下面の平行度や面粗度などが厳しく決められています。計測するLSIごとに形状が異なり多品種少量生産となるため、精度も含めて型ではなく切削で、ということでオーダーをいただきました。シリンジは液晶材料を数滴落とすためのツールで、古い液が引っかかって残留したり、量が正確でなかったりしては不良となってしまいますので、加工部分に高い流動性と精度が求められる。このように精度的に厳しく、素材的にも粘り気が高い、あるいは焼きつきが生じやすいなど様々な原因で難加工となるケースでのご相談を多くいただくようになりました」。


保持ノウハウと刃物の独自性が生命線

樹脂の精密切削加工を行うときに大きな問題となるのが、被加工物に負担をかけずどうやって固定するかということである。しっかり固定するとその力で被加工物は歪みが生じ、精密加工はできない。逆にゆるく固定すると被加工物が振動しやすくなり精度の高い加工は難しくなる。

「被加工物の保持ノウハウというのは加工が精密になるほど重要になってきます。それだけではなく、無理なく加工することは被加工物への負荷を小さくすることになりますので、精度や仕上がりの良さにもつながります。そのため、加工する材料、形状、深さなどの条件を勘案し、加工担当者が専用の刃物を工夫しながら内製し、最適な加工ができるよう何度も作り直した上で、本加工を行います。この『保持ノウハウと刃物の独自性』が当社の大きな財産です」と磯村社長。


新たな加工技術へのトライアル

このような加工ノウハウを活かし、今までの加工技術の組合せや難加工素材へのトライアルも進めている。

切削技術と創業時の板加工から積み重ねた溶接技術との組合せ加工により、新たな配管をひとまとめにするマニホールド構造部材の製造もその一つである。

「樹脂の溶接技術を持っている企業は少なく、さらにバランスよく切削加工も行っているところとなると、もっと数は少なくなります。それ故チャンスもあると思っているのですが、逆にそれは樹脂溶接技術というものが知られていないという弱点でもあります。こうした溶接ができることをもっと発信していきたいと考えています」。


また、スーパーエンプラのPEEK材や炭素繊維のCFRP材などの新素材への対応もすすんでいる。

「CFRPは炭素繊維が層状になっており、切削が非常に難しく、初めて削った時は切削面が剥離でグチャグチャになり面食らいました。当然切削面の平滑性への要求は高く、苦労しました」。

直近の展示会では『柔らかい材質でも切削できる』をテーマにし、ゴムのように柔らかいエラストマー材に切削で穴あけ加工したり、低反発枕に使用されるウレタンフォーム素材をボーリングのピン状に切削加工したりした挑戦的な加工物を出展した。



「いずれも素材が柔らかく保持技術が非常に難しいため、『どうやって加工したのか』など、たくさんの反応をいただきました。今後も今までなかったような加工技術に挑戦していき、技術の幅を広げることで、お客様にも喜んでいただける当社でしかできない高付加価値な提案をしていきたいと考えています」と目標を掲げる。


取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       
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