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親子3代が守った碧南のソウルフード、全国へ

専務取締役 小笠原 充勇

記事更新日.2016.8

小笠原製粉株式会社

■問い合せ先
小笠原製粉株式会社
キリンラーメン
〒447-0887  愛知県碧南市汐田町3-33
Tel  0566-41-0480 FAX  0566-42-6969

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50年間守り通したキリンラーメン、平成7年生産中止へ

インスタントラーメンは日本だけで56億食、全世界で977億食が食べられている(日本即席食品工業協会HPより)。その誕生は昭和33年に発売された「チキンラーメン」とされる。昭和40年ごろには急激な需要増に応えるために、360社ともされる多くの即席麺メーカーが参入した。現在では上位5社で90%程度のシェアを占める市場となったが、この黎明期に発売されて以後、長く地元に親しまれ「ソウルフード」とも呼ばれるインスタントラーメンも数は少ないが脈々と残っている。

昭和40年に小笠原製粉株式会社から発売されたキリンラーメンもその一つである。



小笠原製粉鰍ヘ明治40年に現社長の小笠原良治氏の祖父仙太郎氏が製粉精米業を創業。2年後には製麺も開始、戦後間もなく法人化し現在に至る。

昭和40年に発売されたキリンラーメンは20万食を売り、昭和50年には120万食に達したものの以後は減少を続け、平成6年には6万食までに減少する。大手ラーメンメーカーは消費者の嗜好に合わせてラインナップを変化させていくが、キリンラーメンは醤油味のみ、パッケージデザインすら変えないままだったが、時代の流れには逆らえず、ついに平成7年生産中止に追い込まれる。


長年のファンから熱い復活の希望の声に押され国産化し再登場

しかし、生産中止の反響は大きく「どこへ行けば買えるのか」「また作ってくれ」という問い合わせが相次いだ。

「多くのお問い合わせを長期間にわたりいただき、キリンラーメンは本当に多くの地元の方に愛されていたことがわかりました。そこで平成14年に1回だけ地元限定で復活させよう、ということになりました」と当時を振り返る小笠原専務。

1回限りで復活したキリンラーメンだったが、これまた反響が大きく「買えなかった。こんどはいつやるのか」「また食べたい」などの声に押され、翌年からは毎年のように限定販売を繰り返し、平成22年、完全生産再開となる。

「自分たちの決断で生産中止したものを、皆様の後押しで再開することができました。誕生から生産中止までが50年間でしたので、復活からの50年間は、後押ししてくれた方々への恩返しをしていきたいと考えました。そこでまず、材料の小麦、大豆、米粉について全て国産化を実現しました。小麦は安定供給の観点から15%だけ北海道産を使用していますが、残りの85%の小麦及び米粉、大豆は安城市産のものを100%使用することにしました。地元のものを使用することで、安全安心という形で消費者に恩返しができますし、地元の農家の応援にもなり、ひいては食料自給率の維持にも貢献できます」。

完全生産再開は大きな話題となり、ラインナップとして同年末にみそ味、翌年にはしお味が発売される。


「昔懐かしいパッケージデザインと味」という歴史で他社と差別化

この年、キリンラーメンは東京進出を果たし、それをきっかけに今では北海道から沖縄まで全国制覇を実現する。東京へ広めたのは、たまたま名古屋の百貨店を訪れた東京のバイヤー。目を引いたのはキリンのパッケージデザインで、レトロなデザインが新しく映った。

「パッケージは50年前と同じものです。変えていない、というよりは生産中止をするぐらいで売上も伸び悩んでいたため、新しいものに変える余裕がなかったということもあります。しかし、何よりキリンのデザインで地元の方に親しまれていたことを先々代、先代の社長は大切にしていたのだと思います。その昔ながらのデザインや味が1周回って歴史とともに新しく感じていただけるのだと思います。今となっては当社の大切な財産です」と目を細める小笠原専務。

大手の即席麺は、話題性を求めるためインパクトのある味になるケースが多いが、キリンラーメンは「どこかなつかしい、やさしい味」のままで、この点でも「変えなかったこと」が他社との差別化につながっている。


コラボ企画で「新たなキリンラーメン」の息吹

キリンラーメンが思わぬ展開を始めるのは平成24年。

サンシャイン水族館で開催された『ご当地ラーメン&カレーフェア』に出店したところ、水族館の企画担当の人から「コラボ企画ができないか」との提案を受けた。

「『キリンのデザインがインパクトに残ったので、ペンギンで記念商品をつくりたい』とのことでした。そこで海の生物であることにちなんで『シーフード味』にして、パッケージの『キリン』の文字・イラストをレトロなテーストそのままに『ペンギン』に置き換えコラボ商品にしました。一袋238円(税抜)とインスタントラーメンとしては高価でしたが、おみやげ品としてはリーズナブルな商品として非常に好評をいただきました。当初は水族館限定でしたが、すでにキリンラーメンをお取り扱いいただいている店などからも『ペンギン』をラインナップに加えたいとのオファーもいただき、水族館からのご厚意もあり、一般店への展開もすることができました。その反響の大きさや価格競争にならず付加価値が確保できること、そして何より『どう面白くしたら、ご購入いただく方々が喜んでいただけるだろう』と想像して楽しく仕事ができることから、こうした取り組みを積極的に行うようにしました」。

翌年には、埼玉県こども動物自然公園から「カピバラを当動物園の目玉として売り出したい。そこで、プロモーション用のおみやげ品として、キリンラーメンのパッケージテーストで『カピバララーメン』ができないか」とオファーも受けるなど、コラボ商品は大きな拡がりをみせていく。

東山動物園や和歌山県のアドベンチャーワールドなどの動物園などのおみやげ品、名古屋トヨペットでのシエンタ車の販促品や衣料品店の名古屋店オープン記念グッズといったプロモーショングッズ用、人気アーティスト「シクラメン」のアーティスト名をモジった「シクラーメン」やももいろクローバーZの妹分「チームしゃちほこ」とコラボした「しゃちほこ」ラーメンなどのコンサートグッズ、ドラゴンズラーメン、カープラーメンなどのプロ野球シリーズ、身近なところでは、企業の周年記念用グッズ、企業来訪者へのおみやげ用まで、様々なシーンでの企画が実現している。



「大手即席麺メーカーでは1ロット30万食など、とてつもない量でしか注文ができません。それに対して当社の生産規模では1ロット1200食からお引き受けでき、このサイズでのオーダーができることが数多くのコラボ商品につながった大きな要因だと思います。もちろん、キリンラーメンのパッケージを気に入っていただいて、自分でもあのパッケージテーストのラーメンを作ってみたいと思っていただけるということもあります。このように、規模にあったニッチな商品づくりをしているため、大手では手が出せない分野となっているのです」。

新販路「雑貨屋」で「食べる雑貨」として好評。「楽しい食卓」づくりを

こうしたコラボ商品展開をするのと同時に、当社ブランドの商品展開も進めた。
塩とんこつ味の「イルカラーメン」(イルカを漢字で「海豚」と表記するので海=塩、豚=とんこつをイメージ)、ごま醤油味の「アザラシラーメン」、カレー味の「カレイラーメン」、コラーゲンを配合・ノンフライ仕上げにした女性をターゲットとした「べっぴん」シリーズのトマトスープ味・やさいスープ味・カレースープ味、ふぐラーメンシリーズなどラインナップも大幅に増えている。


「実は当社のラーメンの販売ルートはスーパーはあまり強くないのです。それではどのルートが強いのかというと最近では「雑貨屋」さんでお取り扱いいただく機会が非常に多いのです。雑貨業界も競争が激しくなっており、『おもしろいもの、変わったもの』の商品開拓ニーズが非常に高くなっているそうです。そんな中、パッケージデザインから『かわいい』と店頭にも馴染む商品として注目されており、加えて大きな強みとして『食べられる』ということがあります。食べておいしければ、再購入するためその店舗を訪れる。価格的には1食250円程度ですが、この値段をスーパーの即席麺の棚にかかげると『とんでもなく高い』となるのですが、雑貨店の単価としては非常に安い価格帯になり、しかもリピートが期待できる。雑貨店にとって来店頻度を上げるというのは非常に大切な要素であるとのことで、このことからも当社の商品を販売いただける機会も増えています。雑貨関係の展示会などに出展した際には『キリンラーメンは食べる雑貨です』などと紹介するようになりました」。




平成22年、本格復活生産を始めた当初は売上の5%程度であったラーメン売上が、今では小麦粉売上:ラーメン売上=1:1にまでになった。

「地元をはじめとするキリンラーメンを支持してくださったお客様のおかげでキリンラーメンを復活することができました。その恩返しの意味も含めこれからもキリンラーメンが『楽しい食卓』づくりのお役に立てればと考えています」。

新たな取り組みとして、国産小麦を使用した「黒糖かりんとう」を今年の2月に発売した。黒糖には沖縄県産黒糖を使用し、食品添加物や遺伝子組み換え原材料は使用せず安心して食べられようこだわった。



祖父がつくり、父が復活をし、子供である現専務取締役が全国制覇したキリンラーメンの今後の展開から目が離せない。


取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       
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