皆さんは「Web 2.0」という言葉を聞いた事がありますか?「XXX 2.0」という某携帯会社の2.0についてはご存知の方もいらっしゃるかと思いますが・・・。実はこの「Web 2.0」という言葉ちょっとした流行言葉なのです。実際に新しい何かがこれから始まるのではなくて、実はもう既に始まっている事(皆さんの中には経験されている方も多数いらっしゃるかと思います)を Tim O’Reilly氏が「Web 2.0」と言葉に表現してみたら世界中の多くの人から賛同を得て、そのまま言葉として定着した、といったところでしょうか。
では「Web2.0」とは何を現すかといいますと、誰しもが感じていたインターネットの変化、次世代インターネットを象徴する言葉なのです。
次世代インターネットといわれると少々難しい事のように思われるかも知れませんがそんな事はありません。もちろん次世代インターネットを構成している要素の一つとして「技術の進歩」がありますが、今回の目的は難しい技術論は抜きとしてWeb 2.0についてわかりやすく解説させて頂きたいと思います。
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Tim O’Reilly氏の「Web 2.0:次世代ソフトウェアのデザインパターンとビジネスモデル」からWeb2.0には7つの原則があるとの事、下記に列挙いたします。 |
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(A) プラットフォームとしてのWeb
通常プラットフォームとはアプリケーションを動作させる際の基盤となるOSの種類や環境、設定等を指します。
ここでいうところのプラットフォームとはOSの種類に関係なく「アプリケーションを動作させる環境」の事を指します。
例えば、Windows上で動作するブラウザでGoogleの検索サービスを利用した場合と、Linux上で動作するブラウザでGoogleの検索サービスを利用した場合、
Mac上で動作するブラウザでGoogleの検索サービスを利用した場合其々得られる検索結果が大きく違うということはありませんよね?
(もちろん検索キーワードが違うとか検索した時間や日にちが大きく違うという場合は除いて)
(B) 集合知の利用
口コミサイトやオンライン百貨辞典の 「Wikipedia」に象徴されるように個人だけの知恵や知識でなくて大多数の人の意見や智恵から得られる「知」の事をさします。
例えば一評論家が推奨している本より大多数の人が「これは面白い」「これは為になる」とインターネット上に評価を沢山書き込んでいればよりその本を購入する気持ちが強くなりますよね。
また「Linux」のようにインターネット上で公開され、世界中の知識も経験も様々な人たちの「集合知」によって開発されていったプログラム(OS)も存在します。
(C)データは次世代の「インテル・インサイド」
言葉通りに受け取ると「インテル製のCPUが搭載されていないといけないのか?」と疑問に思われるかと思いますが、
実はコアデータを制するものが市場を支配し莫大な利益をあげることが可能となる、つまりはインテル・インサイド的なビジネスが可能ということです。
皆さんの中には「intel insaide」のシールが貼られているパソコンをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実際のデータ提供ビジネスの例としては日本の「グーグルマップ」がわかりやすいかと思います。「ZENRIN」は「グーグルマップ」に地図データベースを提供しています。
グーグルマップを見ていただければわかりますが地図の下のほうに「@2007google 地図データ@2007 ZENRIN」と記載されています。
(D)ソフトウェア・リリースサイクルの終焉
Web2.0の世界ではソフトウェアのリリースという概念が無いという事です。
例えば、「Google1.0のサポートを終了しますから皆さんGoogle2.0の購入をお願いします。」というGoogleからのお知らせ記事をご覧になった方はいらっしゃらないと思います。だからといってGoogleが全く進化、進歩していないといったらこれは間違いでWebを通して常に新しいサービスが提供されていると思います。また追加される機能も永久ではなく使われないものは削除されます。
Webで提供されるサービスは常にアップデートされるため永久のβ版であるともいえます。
(E) 軽量なプログラミングモデル
軽量なプログラミングモデルを採用し、プログラムにシステムを連携させる橋渡し役を担わせることで低コストで全く新しいサービスを提供できること、
再利用する際の障壁が少ない事から更に改良され、より良いものを提供しやすい、されやすい事を指します。
(F)単一デバイスの枠を超えたソフトウェア
パソコンだけでなく、PDAや携帯電話など様々なデバイスでもサービスを提供できるということを指します。
(G)リッチなユーザー体験
Ajaxなどの技術を背景に利用者に対して双方向のデータのやり取り、グラフィカルであるなど、ユーザーにわかりやすく快適なサービスを提供できる事を指します。
わかり易い例としては「グーグルマップス」ですね。
地図上で自由にドラッグしながら位置を変更させたり、キーワード検索できたりといったユーザーにとっては非常に便利な機能が提供されています。
上述させていただいたAからGのいずれかの原則に当てはまればWeb2.0といえるそうですが、皆さんいかがですか?Web2.0とは何か掴む事ができましたか?
そもそもWeb2.0とは新しいテクノロジーの事をさしているわけではありません。実はインターネットが生まれてからの今日までのインターネット上での成功事例で使われている技術やコンセプトを整理したものになります。
使われている技術は過去にも存在した技術になります。原則の7番目(G)にAjaxと技術名が出てきましたがAjaxは Asynchronous JavaScript + XMLの略称のことで以前からも利用されている技術の事で「新技術」というわけではありません。
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2.何故「Web 2.0」というキーワードが重視されるのか? |
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そうなると何故「Web 2.0」というキーワードが重視されるのか疑問に思われる方もいらっしゃるかと思います。重要なのは「Web 2.0」が
(1) 人々の行動に変化をもたらした。
(2) 広告の世界に変化をもたらした。
(3) マーケティングの世界にも影響を及ぼすようになった。
という大きな3つ変化をもたらしたことです。
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(1)人々の行動に変化をもたらした。
Web2.0とそれまでのWebの違いには「情報発信者の変化」があります。
今までのWebではユーザーがサイトを構成している企業もしくは特定の情報発信者から情報を得るという形態が主体で情報自体が一方通行であったものが
Web2.0では個人がより気軽に情報を発信できる場としてブログやmixiのようなソーシャルネットワーキングサイト(SNS)が提供され個人の情報発信が容易になりその結果人々の意見が集まり、
一企業や一情報発信者では莫大な投資をしないと取りまとめる事の出来なかった情報が個人の集合知によって形成されるようになりました。
(2)広告の世界に変化をもたらした。
これまでのWeb広告はサイト訪問者数の多いサイトにバナー広告を掲載してもらうことで、より多くの人々に「見てもらう」事を目的としたマス広告が中心でした。
Web2.0の世界では「グーグルアドセンス」のようにサイトに関連するキーワードを元に広告を表示する検索連動型広告も台頭してきています。
検索連動型広告のメリットはユーザーがキーワードで検索した結果、表示されたサイトに広告が表示されるため、ユーザーにとって興味のある、
価値のある広告として情報提供する事ができるためユーザーへのより高い宣伝効果が期待できること、
且つマニアックなサイトであってもユーザーが検索してサイトを表示すれば広告が掲載されることからニッチ層に向けた広告掲載が可能となった事です。
これらのニッチ層への広告戦略は今まで一部の人にしか需要が無いとされてきた商品のプロモーションを可能にし、多品種少量のマーケットである
「ロングテール」(後述)を生み出すことになりました。
※「グーグルアドセンス」は以下のサイトを参考にしてください。
http://www.google.co.jp/ads/
(3)マーケティングの世界にも影響を及ぼすようになった
(1)の情報発信者の変化による口コミサイトや(2)の広告モデルの変化によるニッチ層への商品プロモーションが可能になったことから企業の多くは今までのマーケティング戦略だけでは通用せず、
「口コミサイト」に掲載される多くのユーザーから投稿される自社製品の評価に神経を配ったり、インターネット上のオピニオンリーダーと呼ばれる個人サイト運営者に対して
自社の新製品を評価してもらったりと商品を売る為の活動手法を変えてきています。またニッチ層への商品プロモーション活動が可能になった事から「ロングテール」とよばれる現象が生み出された事などWeb2.0でもたらされた影響は大きいといえます。
図1 Web2.0による変化イメージ
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ユーザー側 |
サイト側 |
要素 |
集合知の利用 |
基幹サイトのWebAPIを公開 |
現象 |
群集の英知(ブログ、Wikipedia) |
サイトの互換性 |
技術 |
RSSやXMLなどのメタ情報 |
マッシュアップ |
将来 |
即時性と検索性の向上から人工知能化 |
軽量なプログラミングモデルとそれに伴う軽量なビジネスモデル |
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