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オフィスの究極の環境活動は、業務効率を上げることだ! |
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オフィスでの環境活動に限界を感じています。裏紙の利用、お昼休みの消灯、エアコンの設定温度など、推進委員会で思いつくことはやりつくしてしまいました。何か、良い活動があれば教えてください。
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ありがとうございます。オフィスでの環境活動は工場に比べて環境影響が小さいこと、また環境対策にかけるコストも小さいことから、どうしても後回しにされたり、活動を軽んじられる傾向があります。ご質問の企業様では積極的な取り組みをされているようですので、あらためてオフィスの環境活動についてお話したいと思います。
オフィスでの環境活動といえば、具体的には以下のような取り組みが代表的なものとして挙げられます。まだ実施していない取り組みがあれば、まずは参考にしていただきたいと思います。
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◆ オフィスの環境活動(例) |
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(1)
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適正冷暖房温度の設定 |
(2) |
節電・節水の励行(不必要な電灯の消灯、OA機器等の電源オフ等) |
(3) |
省エネ・新エネ型の設備機器等の導入 |
(4) |
グリーン購入の推進 |
(5) |
緑化の推進(屋上緑化、敷地内緑化等) |
(6) |
エコドライブの励行(アイドリングストップ、経済速度の遵守等) |
(7) |
自動車利用の抑制(ノーカーデーの実施、公共交通の利用推進等) |
(8) |
3Rの推進
Reuse:用紙・文房具の再利用
Reduse:ごみとなるものを持ち込まない(DMの断り、不要梱包材の廃止等)
Recycle:ごみ再資源化(ゼロエミッション) |
(9) |
その他 (ペーパーレス等) |
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(参考:関西エコオフィス事例集/関西広域連携協議会) |
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これらのオフィスの環境活動では、「紙一枚、水一滴、電気一秒でも大切に使う」という心がけを持ちたいものです。これは前回紹介した資源生産性の考え方とまったく同じです。投入する資源はより少なく、生み出す価値(製品・サービス)はより多くすることが、環境効率(資源効率)を高めることになるのです。
一方、資源効率とは別に、より短い時間でより多くの価値を生み出す「業務効率」の改善という考え方があります。無駄な業務時間をなくすことは、その時間分の無駄な資源を消費せずにすみます。たとえば業務効率を上げて1時間残業時間が減れば、オフィスの電気をその分使用しませんから、環境効率が上がったことになります。業務効率を上げることは環境効率を上げることにつながるのです。
先ほど紹介した心がけ「紙一枚、水一滴、電気一秒でも大切に使う」に、もうひとつ付け加えなければなりません。1秒でも仕事を早く終わらせること、これはオフィスの環境活動においてとても大切なポイントです。
繰り返しになりますが、オフィスの環境活動は、裏紙の利用や消灯などの直接的な環境活動でなくても、業務効率を上げる取り組みであれば、どんな取り組みも環境活動とみなすことができるのです。オフィスの業務効率を上げる取り組み事例として、ある企業でのオフィスの2S(整理・整頓)活動をご紹介します。
この企業では調査事業を行っており、調査報告等に大量の紙を使用しています。2S活動に取り組むにあたり、まず事業本部長を筆頭に社内での活動体制を作り、担当者に時間と権限を与え、全員参加による活動を展開しました。まずは書類や書籍の整理・整頓です。不用な書籍・書類の廃棄により、実にダンボール150箱もの不要資料が廃棄されました。さらにドキュメントを共有したり、電子化することで、書棚25列分ものスペースを確保できました。行き場所がなく床置きしていた現場機材等を空いたスペースに収め、使い勝手も良くなったのです。そして文書作成から保管、廃棄までのルールを作成し、電子データに関してはデータベースを構築するなど、どんどん改善が進んでいきました。当たり前の整理・整頓を
、当たり前にきちんとした、ただそれだけです(「ただそれだけ」が難しくもあるわけですが・・・)。ともかく、使いやすく、片付けやすいオフィス環境づくりに成功し、業務効率の向上につながったのです。そして、それだけでは終わらなかったのです。
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オフィス2S活動の主な取り組み内容と成果 |
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取り組み |
成果 |
ドキュメントの整理 |
不要資料の廃棄(ダンボール150箱)
机周り・書棚のスペース確保(書棚25列分) |
共有資料の整理 |
書庫に集約し、管理・閲覧が容易に
(業務の無駄な時間を削減) |
資料の廃棄に伴うファイル等
の備品確保 |
文具類の再利用(購入コストの抑制) |
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約1年後、社員アンケートを実施し、改善の成果について調査したところ、直接的な整理・整頓による効果だけでなく、次のような波及効果が見られました。「気分良好で仕事できる」、「士気が向上した」「仕事のメリハリと達成感が得られる」「時間がない、忙しいと言わなくなった」など、仕事に対する前向きな意見が数多く得られたのです。ここであらためて、オフィスで2Sに取り組むメリットを活動とその成果の関係から整理してみます。
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職人は道具にこだわるといいます。常に最高のパフォーマンスを出せるように道具やその職場の環境づくりに余念がないのです。徹底的に道具を磨きこみ、徹底的に職場環境の無駄を省きます。そうやって、雑念を取り払い、集中力を高めていくのでしょう。大リーグのイチロー選手がグローブやスパイクなどの道具を自らの手で徹底的に手入れをしていることは有名ですが、一流のプロは当たり前のことを馬鹿にせずちゃんとやるところからプロなのです。オフィスで働く私たちは紙ファイルやパソコンの電子ファイルを徹底的に整理・整頓しているでしょうか?
オフィスの環境活動では、まずは直接的な環境活動を「紙一枚、水一滴、電気一秒でも大切に使う」の心がけを持って、取り組んでみてください。さらに、「1秒でも早く仕事を終わらせる」の心がけを持って、2S(整理・整頓)に取り組んでみてはいかがでしょうか? 業務効率を上げることこそ環境活動そのものであることを意識していただきたいと思います。
さらに、業務効率を環境活動の目標として取り入れる場合、以下の指標(目標)を取り入れてみてはいかがでしょうか? 業務の効率化に取り組んだ成果を数値で社内に発表することで、社員全員活動のモチベーションを高めることが出来ます。
環境活動指標(例)
・ 短縮できた残業時間
・ 業務1件当たりの処理時間
・ 一人当たりの売上 等
一方、これらの指標は業務量に左右されるため、以下の原単位で捉えれば、取り組みの成果がより適切に表現できます。
原単位指標
・ 月間電気使用量/月間売上あたり
・ 月間用紙使用量/月間売上あたり
・ 月間電気使用量/一人あたり
・ ガソリン使用量/売上あたり 等
オフィスの環境活動は当たり前のことを継続してやり続けていくことなのだと思います。当たり前のことを(<A)、馬鹿にせず(B)、ちゃんとやる(C)。「オフィスの環境活動はABC」を合言葉にしたいと思います。働きやすく、気持ちの良い職場環境で地球環境にも貢献したいものです。
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