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レストラン・ホテルの環境取組み
レストラン・ホテルの環境取組み
〜オーストリア ウィーンにおけるサービス産業のエコビジネス事例〜
古川 智美 記事更新日.10.03.01
株式会社フルハシ環境総合研究所 国際事業室 欧州・北米担当
■PROFILE
ブリティッシュコロンビア大学大学院(School of Community and Regional Planning, University of British Columbia, Vancouver, Canada) 学術修士(持続可能な地域計画専攻)、名古屋大学大学院国際開発研究科博士前期過程 学術修士(国際環境協力専攻)。
2005年フルハシ環境総合研究所入社。ドイツNRW州効率化エージェンシー(EFA)により開発された資源生産性診断プログラム「PIUS-Check」の日本での展開の推進力となる。欧米での先進的環境政策やプログラムの調査・研究、日本の先進事例を世界へ発信するなど、「環境」で世界と日本を繋ぐ活動に従事。持続可能な社会実現のための政策提言、Think Globally Act Locally!をモットーとした地域での取り組み推進にも力を入れる。
他に資源生産性向上、省エネルギー、環境活動に関する各種企画・調査等、環境経営全般の活動をコンサルティング・支援している。

【連絡先】
株式会社フルハシ環境総合研究所
名古屋市中区金山1-12-14 金山総合ビル7F
〒460-0022 TEL:052-324-5351 FAX:052-324-5352
ウエブサイト: http://www.fuluhashi.jp  

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Q:
レストランを経営しており、環境活動といっても何から取組むべきか決めかねています。
あまりコストをかけずに環境活動に取組みたいのですが、どのような活動があるのか、教えてください。
A:
サービス産業では、製造業に比べて直接的な環境負荷が少ない場合も多く、またホテルやレストランなどでは、サービスの質やその「格」を落とすことなく環境活動に取組む事が難しいという話をよく耳にします。

また、「環境」よりも先ずは「経済」・・・という声も聞かれます。不況で企業の「環境取組み」に関わる予算が削減されており、環境負荷低減のための、新たな設備投資はとりわけ難しいようです。
しかし、私は経済が厳しい時こそ「環境」を強みに変えることができると考えます。

今回は、環境を強みに変えて経営を伸ばしているサービス産業企業の事例とそのポイントをご紹介します。オーストリア・ウィーンのエコビジネスプランというプログラムからの事例です。
皆様ご存知の通り、ウィーンは、国際観光都市。ホテルやレストランなどのサービス産業が盛んです。2008年に現地で当社が行った企業ヒアリング及びプログラムについての調査の中から、企業の取組み実態や「生声」をご紹介します。

オーストリア・ウィーン市では、市の環境保護局が主体となり、企業の環境取組みを支援するプログラム「エコビジネスプラン」を1998年から実施しています。
エコビジネスプランとは、企業の自発的な環境取組みを支援するプログラムで、「企業に対する教育プログラム(ワークショップ)」と「個別コンサルティング」を組み合わせた内容です。「ワークショップ」では、廃棄物管理、省エネルギー、環境管理体制の構築など企業が環境取組みを進めるための教育を複数の企業と共同で行います。個別コンサルティングでは、コンサルタントがそれぞれの企業を訪問し、店舗や工場の現場を確認した上で各社の状況に合わせた専門的な指導を行います。

先ずは事例を見ていただいた方がわかりやすいので、ホテルとレストランの2つの事例を紹介いたします。
【事例1】
Hotel Imperial(帝国ホテル)-ブランド価値向上、コスト削減と従業員のモチベーションアップ

Hotel Imperialは、エコビジネスプランに参加し、観光エコラベル(※1)を取得しています。このプログラムへの参加以前も、自社内で省エネルギーや節水などの活動に取組んでいましたが、自社で独自に進める活動には限界があり、省エネルギーなどについて「専門家」のアドバイス、指導を受けるためにエコビジネスプランに参加しました。コンサルタントに専門的かつ中立な立場からアドバイスを受けることにより、省エネルギーや省資源の活動が更に進み、コスト削減を実現しました。

具体的には、次の取組みが実践されています
●客室の洗面所・シャワーの給水・給湯への節水コマの導入
●冷凍庫の廃熱を給湯の予熱としての活用
●客室の掃除に使う洗剤量の削減
●排水汚染防止のため生分解性の洗剤への転換など

節水コマの導入は、お客様への影響を考慮して、先ずは数室で試験的に導入。お客様に影響がないことを確かめてから、全室へ展開しました。また洗剤量については、従来目分量を使って掃除していたが、掃除に本当に必要な最適量を明確化、マニュアル化して使用量管理を徹底する事により使用量とコスト削減が実現しました。

観光エコラベル認証を取得しただけでなく、エコビジネスプラン参加企業としてウィーン市から認証や表彰を受けることができました。その結果、従業員の環境取組みに対するモチベーションが上がった事も大きな効果として挙げられました。Hotel Imperial 技術部長パンツァー氏は、サービスの質を下げない範囲の中でコスト削減につながる取組みは十分可能だと仰っています。
Hotel Imperialでは、5つ星ホテルとして、自社の環境取組みをお客様へ積極的にPRするという方針は持っていません。しかしイギリスのBBCテレビで、ホテルの環境活動についての取材を受けテレビ放映されたこともあります。また、旅行会社からのアンケートでは必ず環境取組みについての質問があるなどホテル業界でも環境取組みは避けては通れないテーマとなっているとの事です。

環境取組みを積極的に実践していくことにより、コスト削減だけでなく、企業のPRやブランド価値向上に繋がっている良い事例だといえます。

※1:観光エコラベルは、ホテルやレストランなど観光にかかわる分野のサービス業を認証するエコラベルの仕組みです。オーストリア発の取組みですが、現在はEUエコラベルの一部としてヨーロッパ27カ国で使われています。
参考(英語): http://www.ecolabel-tourism.eu/index.php/cid/_3.html

【事例2】
Kardos(レストラン)-コスト削減、従業員の作業環境向上

省エネの手法について専門コンサルタントから中立的な意見が欲しいというきっかけでエコビジネスプランに参加し、2003年に観光エコラベルを取得しました。

取組み内容
●省エネルギー(必要な箇所を必要なだけ照らす事ができる様照明機器の自動制御化、暖房の効率化)
●脱原子力という考えから100%カーボンニュートラルなクリーンエネルギーの導入(この取組みは、メニューに記載してお客様に紹介)
●節水(お客様用手洗いを節水型自動栓に)
●排水の汚染防止のため生分解性洗剤へ切り替え
●特別メニュー売上金額の内、1ユーロを毎年決めたテーマに沿った福祉団体へ寄附(親のいない子どものため、ホスピス等)

レストランのオーナー、ロベルト・カルドス氏は、「環境問題について毎日メディアで報道されている。問題について聞いたり話したりするだけでなく、小さな事でも良いからできることから自分で行動することが大切。未来の子どものため、地球のためにも出来ることから始める。」と環境取り組みに対する熱い思いを語ってくれました。ビジネスの中でどんな取組みを導入するかについては、コストメリット、レストランの雰囲気を損なわない事や従業員の働き易さを考慮して、そのバランスの中で進めているそうです。
例えば、省エネ取組みの一環として、明るさをこまめに調整できる照明の導入や人通りが少ない廊下はモーションセンサーで必要な時だけ照明がつく仕組みなど、レストランの雰囲気を損なわず、自動制御なので従業員の手間を増やさない手法を取入れたのです。従業員には、「エコで楽になった」と好評だとの事。環境取組みによって効率改善、職場の働き易さが改善されるということもあるのです。

ポイント
●レストランの雰囲気を損なわず、従業員に作業負荷がかからない範囲で導入
●中立・専門的なアドバイスを受け、コストメリットなども計算した上で、できる範囲で実践。バランスが重要。

エコビジネスプランの効果と成果
エコビジネスプランへ参加した企業は、プログラム参加のメリットを次のように述べています。
1.コスト削減(原材料費削減、省エネルギー、節水、排水の減少、廃棄物の発生抑制)
2.環境負荷を低減している、社会にとって良いことをしているという誇り(従業員のモチベーション向上)
3.従業員の作業環境の向上
4.環境取組みをしている企業だというPR効果、ビジネスチャンスの増大

地域全体の効果
エコビジネスプランを実施し始めてから10年間で、680企業が参加し、地域全体としては次のような効果をあげています。
● 208万m3 水道水の節水 (オリンピックプール: 670杯分)
● 6千6百t 有害廃棄物の発生抑制
● 11.5万t 廃棄物発生抑制
● 5.1万t CO2排出削減
● 175 GWh エネルギー使用量削減
(ウィーン市の58,400家庭の年間エネルギー消費量に相当)
● 8,600万交通(物流)km (地球を2,141周分)
● 4,170万ユーロのコスト削減 (54億2,100万円、1ユーロ =130円として)

まとめ
これらの事例は、行政のサポートがあるからこそできる取組みと感じられるかもしれません。しかしこれらの事例から日本のサービス産業でも参考になる点がたくさんあります。

1.先ずはできることから始める。小さな取組みでも積み重なれば成果に繋がる 。
各企業の事業は様々ですが、どんな小さな取り組みでもできる事から始める事が重要です。企業の実情にあわせて、出来る事、出来ない事ありますが、企業の実情や優先順位に合わせて活動を行う事により、前述の成果に繋げることができます。ウィーン市では680社もの企業参加によりコスト削減や廃棄物発生抑制、省エネルギーなどコストメリット、そしてCO2排出抑制と数字でも見られる効果が出ています(上記「エコビジネスプランの効果と成果」欄を参照下さい)。

2.コミュニケーション・情報発信
企業の製品・サービスに環境配慮が求められる時代になっています。お客様や取引先などに自社の取組みを発信する事は、「製品・サービスの良さ」を伝える良い機会です。外部に情報発信する事により、お客様や取引先とのコミュニケーション改善や自社のブランド価値向上にも繋がります。 また、環境取組みは社員のモチベーション向上に繋がります。
ウィーンで企業のヒアリングを行った際に、「わたしが環境に良い仕事をしているということを、胸を張って自分の子どもにも伝えたい。環境取組みはわたしの誇りです。」と経営者や従業員の方から聞いた言葉が印象的でした。

3.外部との連携
今回ご紹介した事例は、ウィーン市の環境取組み支援のプログラム、エコプロフィットという枠組みで外部の専門コンサルタントのサポートや指導を受けて、自社の実情にあった環境取り組みが促進されています。
無料または比較的安価で利用することのできる公的な支援制度の活用をおススメします。
例えば、以下の制度・プログラムが挙げられます。

企業の環境配慮型モノづくりの開発支援や環境性能の見える化の支援をするネットワーク(エコプロネット)
省エネルギー診断(無料)(財団法人省エネルギーセンター)
省エネルギー指導員、省エネルギーアドバイザー派遣(名古屋市)

ホテルやレストランなどサービス産業では環境への取組みは何をすればいいのかわからないとよく聞きますが、本稿で取り上げたようにやれることはたくさんありますし、その成果も小さくありません。会社の経営体質の強化、コミュニケーションの活性化にも繋がる活動を目指し、まずは出来るところから始めてみては如何でしょうか。
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