#20

樹脂加工であらゆる産業に
貢献する会社を目指して

IT推進による樹脂加工の生産拡大

サン樹脂株式会社

DX事例:サン樹脂株式会社

デジタル化の背景・目的

 当社は、1978年に創業以来、プラスチック製の板や丸棒を加工して工業用プラスチック部品を製造してきました。高難度樹脂加工に取り組み、技術力の高さを武器に取引先を拡大し、近年ではJIS Q 9100を取得して航空宇宙向けの部品市場の開拓に取り組んでいます。

 2009年より毎年「経営指針書」を作成して、全従業員、仕入先、及び金融機関に向けて、その説明を行っています。現在、会社のIT化は進めていますが、会社全体の取り組みとして、「経営指針書」にDXの取り組みを打ち出せていません。

 今年度はデジタル技術を会社の業務にどのように活かせるかを探索するために、推進組織として3名を指名し、公的機関の研修に参加させています。

 生産管理システムはすでに導入出来ており、受注から出荷までの生産体制を構築しています。しかしながら、生産管理システムの受発注は未だに手入力が多く、各段階でのチェックが複雑化しており、間接業務が肥大化しています。また、データの蓄積は進んでいますが、それを活用した業務改善までは至っておらず、データ活用が十分できていません。

 今後は、間接業務を見直して不要な業務を削減し、可能な限り自動化を進めること、そして蓄積したデータを活用して、製造現場の工数低減を進めることの二つを目的として、新たな取り組みとしてDXを推進します。

デジタル化の背景・目的

デジタル活用の概要

EDIの利用

 大手の仕入先とEDIで支払いデータの交換が可能となっており、支払先と単価など不一致を探す作業の短縮が可能となっています。

仕入先とのデータ照合

 これまで紙の伝票を1枚ずつ照合して行っていた仕入締め作業を、データによる照合に変更しました。取引先もIT化を進めており、依頼さえすれば必要なデータはすぐに入手できることを実感しております。

材料の在庫管理

 材料の受け払いの徹底とバーコード管理により、在庫の正確性が向上した結果、受注後の材料在庫の確認と無駄のない手配が行えるようになりました。

 製造現場に関係するIT化の取り組みとして、以下の取り組みも行っています。
・顧客から支給される3Dデータから、CAD/CAMによるツールパス作成、NCデータ生成までの工程をデジタル化しています。

デジタル活用の効果
デジタル活用の効果

 生産管理システムは導入済であり、全体の業務の流れは徐々に見える化が推進できてきました。同時に、製造現場の合理化も推進できてきました。

 現状のデジタル活用の効果は以下の通りです。

1.見積から受注、製造、請求まで業務の一元化

 各業務プロセスにおけるデータを一元化することにより、手書きや入力作業の重複を削減できました。

2.支払い作業の短縮

 仕入先からデータを入手するようにして、単価の不一致を自動で検出する仕組みが実現できました。その結果、毎月の仕入締め作業に10日以上要していたが、3日に短縮できました。

3.材料の在庫管理

 材料のバーコード管理により、正確に現状の材料在庫を把握できるため、製造に必要な材料の確認がタイムリーに可能となりました。また、トレーサビリティを担保できるようになり、顧客の品質に対する信用度も上がりました。

4.製造現場の自働化

 3DCAD/CAMなどにより熟練工でなくても高品質な製品製造が可能になりました。

今後の課題・目標

 今後は、間接業務の3S、特に情報の流れに着目して不要なプロセスを統合した上で、定型的な作業はRPAを活用して省人化を進めます。また、生産管理システムで収集した製造実績データを分析して、原価低減と価格の見直しを進め、効率的な生産を実現する会社とします。このような業務改善活動の中でDX認定申請を進める予定です。

 今後の課題としては、業務改善活動だけではなく、デジタルを使って売上アップを図る活動を、経営方針として打ち出すことです。DXを新しい事業展開としても推進していくことを目指していきます。

 そのためにもまずはIT人材の育成から取り組みます。従来、社長が中心となって推進してきたIT化の体制から、IT人材を中心とした全社でDXに取り組む会社になるために育成と人的投資を進めていく予定です。

代表者からのメッセージ

代表者の写真

サン樹脂株式会社
代表取締役

磯村 太郎

 日本の製造業は現在転機を迎えています。自動車産業に代表される外部環境の激変には当然対応するのですが、少子化による若者の減少は、日本の製造業が培ってきたノウハウが途切れることとなります。

 当社としては、IT人材を育成しDXを推進することで、生産性を向上させて余力を創り出し、その余力で先輩たちから受け継いできた「ものづくりの文化」を継承していくこと、そして、新しい価値を創造していくことに取り組んで参ります。

企業情報

サン樹脂株式会社
会社の写真
本社所在地 愛知県北名古屋市六ツ師大島14番地1
T E L 0568-27-3014
F A X 0568-25-0150
創業年月 1978年3月
資本金 900万円
売上金 8億5000万円
従業員数 56名
H P http://sunjushi.co.jp
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