デジタル化の背景・目的
当社は、再生プラスチック専業メーカーとして1986年に創業致しました。創業当初に、廃プラスチックから樹脂製研磨材「サンブラスト」を開発し、タイヤ成形金型の洗浄用として日本の主要タイヤメーカーに納品をしております。その後、土に還る生分解性樹脂原料を開発し、農業用マルチフィルムの原料として製造販売しております。
近年は、経済のグローバル化が進み、競争相手が海外にまで広がり、安い輸入原料に苦しめられたり、VUCA時代と言われるように経営を取り巻く外部環境が極めて不透明で予断を許さない状況となっております。また、プラスチック市場が縮退傾向にある中で、当社は生き残りを賭けて“オンリーワン”、“ニッチトップ”商品に磨きをかけ、市場ニーズの先取りによる新たな市場開拓に挑戦しております。
最近では海洋におけるマイクロプラスチック問題、環境汚染問題の課題解決として漁具製造メーカー向けに、海洋生分解性プラスチックを用いたコンパウンド複合材の開発を行っています。
いずれの原料製造においても海外製品や、競合他社との優位性を保ち、顧客満足度を上げるためにはQCD(品質・製造コスト・納期)管理精度を上げ、生産性向上が欠かせません。
特に大手企業と違って多品種小ロット製造をしている当社においては、繁雑な製造工程を日々、正確に運営していくためにDXは必然の流れで、QCDの維持向上を目的に独自の生産管理システムを構築して運用をしております。
デジタル活用の概要
当社は、従前より工場のIT化をマイクロソフト社のエクセルを活用した伝票発行、集計、その他・報連相の手段として活用しておりました。また本社との連絡手段は電話とFAXであり属人的な運用問題や、管理精度の問題が発生していたこと、事務部門でも作業面での繁雑さ負荷、モレなどの問題があって以下のような課題整理を行い、IT活用に向けた導入コンセプトを明確にして生産管理システムの構築を行っています。
【生産管理システム構築方針・開発コンセプト】
①現状分析にて確認した結果、当社は「製造依頼書」という創業以来、改善を重ねノウハウが詰まった文書で製造業務の全てを管理できていました。したがって、先人の知見が埋め込まれ、使い慣れたこの文書をコアにおいた生産管理システムを構築します。
②バラバラの情報をITを活用し一元管理できるようにして、誰もが同じ情報を使って業務遂行ができるようにします。
③ITにできることはITに任せて作業者には、今以上の負担を掛けないようにします。
具体的には作業日報の廃止、ファイリングした書類の伝搬、連絡メモなどの廃止をして作業者負担を軽減する運用を並行して行いました。
【生産管理システム構成図】
営業・工場長・作業者・経理の各部門が参集して、IT利活用に向けた理想形の業務プロセスを検討しながら、自分たちのITスキルに応じた現実的なITシステムを作りあげております。利用者のITスキルは高くないため、利用時の対話画面や、キー操作などは素人が間違わない方法、間違った場合には修正がしやすい操作をITベンダーに依頼して、使い勝手重視のシステム開発を行うことに注力しました。
また、使い慣れた製造依頼書、伝票類は極力、原形に近い様式を踏襲して紙から画面に置き換わった程度に留めて違和感のないIT操作ができるように随所に工夫しております。