新規開拓営業の全体像

新規開拓営業の必要性

2015年版中小企業白書によると、中小企業における収益力向上に向けた課題について、約60%の企業が「新規顧客・販売先の開拓」に課題があると答えており、人材面の課題や資金面の課題を抑えて第1位の課題となっています。

企業は、現在の収益を向上させていこうと考えた場合だけでなく、維持継続をしようと考えた場合でも、新規顧客の開拓が必要になります。既存顧客からの収益拡大には限界があるばかりか、既存顧客の廃業や競合他社への取引先変更により、今日時点の既存顧客からの収益は減少していくことが一般的です。そのため、現在の収益の維持継続にも、新規開拓営業は不可欠となります。

新規開拓営業の成功のためには何をする必要があるか?

前述のように、多くの企業が新規開拓営業を必要としています。では、新規開拓営業のためには何をする必要があるでしょうか?市場ニーズの把握、ターゲットの選定、自社の強みを知ること、競合他社の調査、Webサイトの整備、プレゼン資料の作成、営業担当者の管理、などなど・・・おそらく挙げればまだまだ出てくるでしょう。

新規開拓営業という仕事は、少し考えただけでもやらなければいけないと思われることが数多く出てきます。しかし、どれから手をつければよいか分からず、また1つ1つの取り組みがどのように結びついているかもよく分かりません。新規開拓営業をどうすればよいか考えるのですが、その複雑さと煩雑さに考えることを短時間で止めてしまいます。しかし、日々の新規開拓営業の必要性は待った無しなので、「どのようにやっているかは分からないけど、とりあえずやっている」というのが多くの企業にとっての新規開拓営業です。

そのような状態の企業に、「新規開拓営業において大切なものは何ですか?」という質問をすると、「タイミングが重要だ」という答えが返ってきます。新規開拓営業の成功要因は「タイミング」が良かったからということなのですが、果たしてそれでいいのでしょうか?新規開拓営業の「タイミング」は計れません。そのような不安定で計測不能な要素に、企業の未来の浮沈を左右すると言ってもよい新規開拓営業の成否を委ねることは、とても怖いことです。 この、「新規開拓営業の全体像」のパートは、複雑で煩雑な新規開拓営業を、漏れなく無駄なく、なおかつ効果的に組み立てられるようになることを目的としています。

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新規開拓営業をするにあたって、最初にやることは?

図1:ターゲット選定

確かに新規開拓営業は、やらなければいけないことがたくさんあります。しかし、新規開拓営業を行うにあたって、最初に行うことは決まっています。それは、「ターゲットを選定すること」です(図1)。
自社の商品・サービスをどのような人(企業)に導入をしてほしいか、買ってほしいか、勧めていきたいか、ということを決めるということです。「ターゲット選定」も非常に難解に解説されることも多いですが、実践的には「業種・エリア・企業規模」の3点を設定することで十分に対応できます。
最初にやることは「ターゲット選定」と記載をしましたが、これは、商品・サービスは何を売っていくかはある程度決まっている、ということが前提になります。多くの中小企業の場合、売りたい商品・サービスは今までの流れからもほぼ決まっていることがほとんどです。

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Webサイトの役割とは?

ターゲットを選定した後は、そのターゲットに対してどのようにアプローチをするかの手段を構築します。電話・DM・展示会・各種広告など様々な手段がありますが、販促予算の中で適切な手段の選定が必要です(図2)。詳しくは「ターゲット選定」のパートで記載します。

そして、ターゲットに対して何かしらのアプローチをすると、多くの場合「商談」が発生します(図2)。「より詳しく聞きたいので弊社に来てください」などと言われて、訪問をするケースも多くなります。

では、この時にWebサイトはどのような役割を果たすのでしょうか?商談が決まった相手は、必ず商談前に御社のWebサイトをチェックしてきます(図2)。どのような会社か、どの様な仕事をしているか、事例や実績はあるか、そのような事前に相手が知りたい情報を分かりやすく掲載しておく必要があります。

図2:WEBサイトの役割

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新規顧客開拓の全体像とは?

図2をさらに進めていきます。商談の最大の目的は契約して頂くことです。しかし、すべての商談が契約に結び付くかというとそうではありません。多くの商談先が、「見込み客」という状態になります(図3)。

ここでの見込み客の定義は、「1度は御社のお話を聞いたが、まだ導入をしていない企業」です。今すぐに導入をするという企業ではないのですが、一般的にはこの見込み客は無視できる存在ではなく、何かしらのフォローをすることによって関係性を構築し、相手の機が熟した時に2回目以降の商談のテーブルについて頂き、最終的には契約をして頂きます。それにより既存顧客となって頂くというところまで表した図3が、新規開拓営業の全体像となります。

図3:新規開拓営業の全体像

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新規開拓営業を構成する6つの要素

ここまで、新規開拓営業の必要性から新規開拓営業の全体像の説明までを行ってきました。あらためてこのパートの目的は、複雑で煩雑な新規開拓営業を、漏れなく無駄なく、なおかつ効果的に組み立てられるようになることです。

新規開拓営業の全体像から、新規開拓営業を構成する要素は下記の6つである(図4)と言うことができます。

6つの構成要素 | 1.ターゲット選定。2.アプローチ手段の構築。3.WEBサイト制作。4.新規商談。5.見込み客フォロー。6.目標管理・進捗管理。

1~5はこのパートにも登場した内容であり、6の目標管理・進捗管理とは、1~5の考え方を活用して作成した営業計画に対して定期的に進捗管理を行って目標達成を目指していく、いわゆる「新規開拓営業のPDCA」を構築するという項目になります。具体的には「営業会議をどう行うか?」「営業担当者の行動管理をするため日報をどう活用するか?」といった課題が発生する項目になります。

新規開拓営業に対してどうすればよいか、考えられる施策はほぼすべてがこの6つの中のどこかに組み込まれます。新規開拓営業についてこの6つの領域について考えれば、漏れなく無駄なく新規開拓営業を考えていると言うことができます。新規開拓営業の成功において、御社ではどの領域の課題がありますか?

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