新規商談

新規商談の成功の要素

新規開拓営業の流れとしては、まずターゲット選定を行い、そこに対して何かしらの手段をもってアプローチを行います。それにより、次のプロセスとして発生するのが「新規商談」です。1度相手の会社に訪問して商談をするので、特にBtoBでは、頻繁に発生するプロセスです。「新規商談」は新規開拓営業の成功のためには避けては通れないプロセスであり、新規開拓営業の成否を決定する最重要の要素となります。また、この商談を獲得するためにも、多くの時間とコストがかかっている(電話営業したり、Webサイトを構築したり、ダイレクトメールを行っていたり・・・等々)ため、何としても獲得した商談を成果に結び付けたいですよね。

新規商談には成功の要素が大きく2つあります。それは、商談の流れを理解することと、ヒアリングを成功させることです(表6)。

1. 商談の流れを理解する
2. ヒアリングを成功させる

表6 新規商談の成功の要素

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新規商談の流れを理解する

新規商談には流れがあります。図7はその流れを表したものになります。まず、この図は大きく4つに分かれており、初回訪問前、初回訪問時、2回目訪問時、3回目以降訪問時となります。

初回訪問前には、相手の会社のことを調べ、訪問をするための資料を準備するというプロセスがあります。相手の会社を調べるというのは、調査会社のデータをしっかりとチェックするというものもあれば、訪問先のWebサイトを簡単にチェックするというものもあります。商談の重要性や大きさにより、どこまで調査するのか判断をしていきます。

資料の準備として、具体的に準備をする必要があるものは、会社概要、商品・サービス内容、そして訪問先に合わせた事例・実績資料の3点です。この3点を準備する理由としては、新規訪問先相手の担当者が、この3点をまずは重点的に知りたいと考えるためであり、必ず先方からの質問が出る内容になります。中でも訪問先に合わせた事例・実績の準備が重要であり、訪問先の業種・業態、企業規模、同様の問題解決事例などの訪問先に合わせた事例・実績をお持ちすることにより、こちら側の話を聞いてくれやすくなります。

図1:新規商談の流れ

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初回訪問時(自己紹介)

初回訪問をした時は、通常相手の担当者と名刺交換を行い席に着きます。その後に行う事は、こちら側の自己紹介です。自己紹介とは、会社概要、商品・サービス内容、相手に合わせた事例・実績の紹介です。商談の成功のため、案件の受注のため、こちらから聞きたいことはたくさんありますが、まずはこちらから名乗りましょう。

自己紹介の時に大切なポイントがあります。新規商談の場において、自己紹介をするために許される持ち時間は3分です。だから話すべきところと話さないところを決め、重要なポイントのみを時間内に相手に伝える必要があります。

この3分には理由があります。人は初めて会った人の話を一方的に聞くことができる時間は、3分が限界だと言われています。自己紹介のそれ以上の時間をかけてしまうと、相手は「話が長いな・・・」と思い、さらには「早く帰ってくれないかな・・・」という感情を抱きます。そのように思ってしまった人に対して、あれこれとヒアリングをするとどのような対応をされるでしょうか?本来は問題解決のニーズがあるにも関わらず、「うちは特に困っていません」「現状で間に合っています」と言われてしまい、有効な商談になりません。有効なヒアリングにするためにも、質の高い自己紹介をする必要があります。

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初回訪問時(ヒアリング)

多くの商品・サービスにおいて、初回訪問の目的は「ヒアリングを成功させること」にあります。販売単価が低い商品・サービスにおいては初回訪問で契約を取り付ける場合もありますが、その場合でも、前述の自己紹介、ヒアリング、そして後述のプレゼンテーションを同時に行っていることになります。ここでは、初回訪問ではヒアリングを目的とし、プレゼンテーションは後日設定の2回目訪問時にて行うことを想定します。

質の高い自己紹介を行うと、相手の担当者はこの会社であれば私たちの問題を解決してもらえるかもしれない、私たちが抱えている問題を話してもよいのではないか、と考えるようになり、課題・問題・要望を話すための土台が構築できます。

その内容を引き出すためにこちら側が行うのが、「ヒアリング」です。新規商談の成否=ヒアリングの成否と言っても過言ではなく、相手が抱える課題・問題・要望をすべて余すことなく話してもらえれば、あとはそれを解決するための方法を提案し、受注に限りなく近づくことができます。

では、ヒアリングを成功させるためにはどうすれば良いのでしょうか?「ヒアリング」とは「聴く」ことです。ヒアリングを成功させるためには、質問をすることが必要です。よって、多くの営業担当者がヒアリングを成功させようと質問を多くしていきます。しかし、少し想像してみると分かるのですが、こちら側が一方的に質問をしている、相手がそれに答えているという状況は、長い時間続けることができません。それは、質問ではなく尋問と呼ばれるような状態ともなり、相手との会話は盛り上がりません。よって、相手が持っている様々な問題・課題・要望を十分に引き出せません。

ヒアリングを成功させる方法は、質問をすることも重要なのですが、それよりもより重要なことは、こちらから「提案」することです。「ヒアリング」とは「聴く」ことです。「提案」とは「こちらから話す」ことです。一見矛盾をしているようですが、ヒアリングを成功させるためには提案は不可欠です。何か1つ質問し、相手に答えて頂きます。もう1つ質問し、答えて頂きます。それに対し、「その内容であれば、私たちのこのようなサービスにより解決ができるかもしれません。」と「提案」を投げかけます。
相手は、相手の質問に答えたことに対して、その場で解決策や具体的事例の提示をしてもらうことにより、自らの持っている課題や問題の解決がその場でイメージができるようになります。そうすると、「このような問題はどうか?」「このようなことには対応できるか?」というような相手からの質問も引き出せます。双方向の会話によりヒアリングが進んでいくと、初回商談が終わるころには、相手の置かれている状況を相当理解した状態になります(図8)。

そして、ヒアリングを成功させるための「提案」は、自社の強み・特徴、事例・実績、相手にもたらすことができるメリット・効果から発せられることになります。新規商談の成功のためにはヒアリングを成功させる、ヒアリングの成功のためには「提案」を成功させる、「提案」の成功のためには、自社の強み・特徴などを十分に理解する。よって、新規商談の成功のためには、自社のことを十分に理解しヒアリングの訓練をすることが最も早く効果を出せます。

図2:ヒアリングのモデル図

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2回目訪問時

初回商談でヒアリングした内容を基に、2回目商談では本格的なプレゼンテーションを行います。プレゼンテーションにも資料とトークがありますが、初回商談でヒアリングを成功させることができていれば、一定以上の資料とトークができれば、良い結果はおのずとついてきます。新規商談の成功は、商談の流れを理解しヒアリングを成功させること、まずはこの2点に集中し、新規商談に取り組んでみましょう。

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